■新規オープンは、小規模の施設が主体
世界最大級の予約サイトのひとつ「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」の京都市内の宿泊施設の取り扱い軒数は、15年末から17年6月までに450から1100に倍増したそう。しかし、客室の数でみると、2万1500室から2万6500室と、増加はわずか5000室なんですって。ブッキング・ドットコムの西日本地区統括部長の高木浩子さんは、この数字についてこう説明します。
「京都では、ここ最近、町家やゲストハウス、アパートメントホテルなど、小規模タイプの施設の取り扱いが増えています。町家の取り扱い軒数は15年末から現在までで4倍になりました」(高木さん)
たしかに、ここ最近、町家を改装した一棟貸しの宿泊施設、ゲストハウスなどがオープンしたというニュースもよく耳にします。京都の宿泊施設のジャンルは多岐にわたるというわけですね。聞けば、現在、ブッキング・ドットコムが取り扱っている京都の宿泊施設のうち、77パーセントが5室以下の施設だとか。
鴨川のほとりに立地するザ・リッツ・カールトン京都や、2016年10月にオープンしたフォーシーズンズホテル京都など、京都には、1泊ン万円の世界的なホテルチェーンのラグジュアリーブランドもたくさんあります。日本資本のホテルに目を向けても、三井ガーデンホテルズが9月に、京都ならではの体験を提供する高価格帯ブランド「ホテル ザ セレスティン京都祇園」の開業を予定。それでもブッキング・ドットコムの取り扱い軒数で見れば、小規模の施設が多いというから驚きです。
で、いったいどんな宿があるの? というわけで京都の個性派宿をチェックしてきました。
■クチコミ評価は9.4! 外国人を中心に絶大な支持
JR京都駅から徒歩わずか3分の距離にある「ピースホステル京都」(全50室/定員125名)は、洗面台付きの個室(シャワーは共同)7割とドミトリー3割で構成されるホステルで、ドミトリーは2400円〜、個室は4000円〜。ブッキング・ドットコムのクチコミ評価は9.4(2017年7月28日現在)とかなりの高評価。また、インバウンドの利用が9割近くを占めるというのも特徴的です。
いったいなにがそれほど支持されているのかという疑問は、実際に伺ってみて氷塊しました。とにかく清潔で、しかもおしゃれ! 聞けば、インテリアはほぼオーダーメイド。多くの人たちがドミトリーに抱いている印象が覆されるのではないでしょうか。
2013年4月に同施設をオープンした田畑伸幸さんは、ビジネスホテルとゲストハウスの「いいところ取り」を追求。ビジネスホテルの機能性と快適さと、ゲストハウスのようなゲスト同士の交流をはかりたいと考え、「客室より、公共スペースのデザインにこだわった」(田畑さん)と言います。
ゲスト同士が交流しやすいように、1階フロントの奥は、広々としたキッチン・ダイニングスペースを配しています。さらにその奥は緑あふれるテラスが! ここでいただくビールは間違いなくおいしいことでしょう。朝食の無料提供、レンタサイクル(1日500円)など、旅行者のニーズに寄りそうサービスも人気です。
共有スペースでは定期的に「たこ焼きパーティー」などのイベントも開催。「大人なんでドミトリーはちょっと」という人も、これだけ快適&清潔なら、ドミトリーもあり、かもしれませんよ!? シャワースペースも広々としていてもちろん清潔です。それでもドミトリーに抵抗がある人は、個室に滞在して、その独特の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。