■イタリアワイン界を代表する人物のセレクトはさすがのひと言!
VINO VIPでは、いくつかのマスタークラスセミナーが開催されました。
今回、最も多く壇上に上がったのが、ワインコンサルタントのリカルド・コッタレッラ氏です。49年の経験を持つリカルド氏は、自身でもワイナリーを運営し、ワイン醸造家としてイタリアワインの評価誌の最優秀エノロゴ賞を受賞するだけでなく、数多くの著名ワイナリーのコンサルタントを務めています。彼はイタリアワイン界を代表する人物のひとりです。
セミナーでは、ワインづくりの環境問題、リカルド氏自身のバックグラウンド、現在の取り組み、今後の展望などが語られました。
また、リカルド氏が注目する19の生産者をフィーチャーした試飲会「I 19 di Riccardo Cotarella」が、「Hotel Cristallo Golf & Spa」にて開催されました。この試飲会も非常に興味深いもので、ワイナリーのセレクトもさすがでした。
この試飲会でも、またまた私は地場品種のワインに惹かれました。
例えば、モリーゼ州の地場ブドウTintilia(ティンティリア)。「Di Majo Norante」が造るティンティリア100%の赤ワインは、ジューシーでやわらかなアタックが魅力的。少し甘みがあり、とてもおいしいと思いました。少しピノ・ノワールに似ているでしょうか。
もちろん、地場ブドウばかりではなく、バルベーラ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ネロなど、よく知られたブドウ品種のワインもありました。
各ワイナリーの担当者がサービス、説明してくれました。
19のワイナリーはイタリア各地から来ていましたが、初めて知る名前も多く、また、初体験のブドウ品種もたくさんありました。
試飲の合間、ドロミテ山塊の景色を目に映しながらの軽いランチタイム。
イタリアソムリエ協会認定のソムリエさんたちが各所でサービスにあたってくれました。
■2日目は広い山小屋レストランで開催
イベント2日目も山の上での試飲会が行なわれ、今度はロープウェイでRifugio Faloria(ファローリア山、2120m)にやってきました。
試飲会場は広い山小屋レストランで、56のワイナリーがブースを設けていました。
イタリア全土から厳選されたワイナリーが出展していますので、クオリティの高い試飲会です。入場料(30ユーロ)を払えば、一般客も参加できるとあって、会場はかなりの混雑ぶりでした。
ヴェネト州の「Le Colture」(レ・コルトゥーレ)は家族経営のヴァルドッビアーデネのプロセッコ生産者。
「1983年に父と叔父がプロセッコ造りをはじめ、今はその息子たち自分ら兄弟の世代になった。高品質なワイン造りに取り組み、世界各国に輸出しているが、残念ながら日本はまだ。ぜひ日本の人にも飲んでほしい」と、アルベルトさん。
スーパータスカンワイン「サッシカイア」のブースは大人気! トップワイナリーや高級ワインを置いているブースは、さすがに人だかりが多かったです。
ワインのおつまみに嬉しい生ハム類はフリーでいただけます。
地元産のチーズも食べ放題!
テラスから見下ろすと、ドロミテ山塊の山々の姿があります。まさに天空の試飲会。
山の麓のコルティーナの街では、こんな観光トレインも見かけました。
コルティーナは小さい街ですが、レストランやカフェも多く、観光で来ているなら、あちこち回りたかったですね。
でも、この地の魅力は、なんといっても、ドロミテ山塊の景色の美しさ。
都会の喧騒を離れ、美しい山々を眺め、澄み切った空気に触れながら、厳選されたワインが飲め、最高のひとときでした。しかも、イタリアならではのローカルブドウ品種やマイナー産地といった、新しい発見もたくさんあり、大きな収穫でした。
VINO VIPは、招待された生産者、業界関係者、研究者、ジャーナリストらが集うスペシャルなイベントですが、開催に合わせてコルティーナを訪れたのでしょう、試飲会では、ワインを楽しむ愛好家の方々の姿も見かけました。
次回の開催は2019年です。一般客ウエルカムの試飲会に興味がある方は、夏休みをコルティーナで過ごすのも楽しいかもしれません。
日程やプログラムは公式サイトで公開されます。
※取材協力/イタリア大使館貿易促進部 ※取材期間/2017年7月9~10日
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(取材・文/綿引まゆみ)
ワイン専門誌や料理系雑誌での記事執筆をはじめ、日本ソムリエ協会webサイトのコラムなどを執筆。ワインセミナー、トークショー、海外のワインコンクール審査員など、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。スイーツ好き。