■災害対策にドローンも活躍
ネットワークオペレーションセンターは大規模な災害が発生した際にも大きな役割を果たしています。地震、台風、豪雨などの自然災害発生時には、設備の破損などにより、ネットワークが寸断されることがあり、トラフィックが混雑することもあります。しかし、以前に比べると、災害時に電話やネットがつながりにくくなることは少なくなったと思いませんか? 東日本大震災などの被災経験から、移動基地局を増やしたり、非常時に広いエリアをカバーする基地局や、通常とは異なる伝送装置を用いるといった対策が功を奏しているようです。
近年始めた取り組みとして、ドローンによる被災地の現状確認の事例も紹介されました。今年の7月に豪雨によって被害に見舞われた九州北部では、土砂崩れなどによって道路が寸断された場所で、ドローンを飛ばして、空撮により基地局の被害状況などを確認したそうです。
将来的には、アンテナを搭載したドローンを “空飛ぶ基地局” として導入することも検討されており、すでにフィールド実験が始まっているとのこと。ドローンの上に搭載したアンテナで、他の基地局からの電波を受信し、ドローンの下方にいる人が、このドローン中継局を経由してネットワークに接続できるというイメージです。しかし、現状のドローンでは20分程度しか飛ばすことはできず、実用化に向けては、ケーブル経由で給電するようにしたり、プロペラの耐久性を向上させたりといった課題があり、法令の改正も必要とのこと。
ほかに、船に搭載した基地局から陸上に向けて電波を送る船上基地局の実験も進められています。こちらは、昨年、法令が改正されて、正式な基地局として免許の交付を受けて、運用できる段階に進んでいます。
なお、夏に野外フェスや花火大会などでも移動基地局が活躍しています。数年前までは、大規模なイベントが開催される場所で、メールが送受信できなくなるといった経験をした人が少なくないのでは? 近年、ドコモのスマホなら比較的スムーズに通信できるのも、このオペレーションセンターの采配によるものだそうですよ。
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(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。