■複数の試験を経たうえで出荷するこだわり
ダイニチ工業では、製品に使うほとんどの部品を自社工場で生産しています。金型なども自社で生産することで、対応が早くなります。それだけでなく、地場産業として一定数の雇用を生み出すことを目指す同社としては、これは至極当然な取り組みのようです。
雇用の面でいえば、旧本社工場は倉庫として利用しており、1年中生産できる体制を実現しています。筆者の訪れた8月でももちろん石油ファンヒーターが生産ラインに流れていましたし、夏場に冬の商品を作るというのは少し不思議が感じもしますね。
石油ファンヒーターに関しては、全製品の燃焼実験をしているそうで、現場のスタッフが目視で確認していました。同社の工場を見学していて気付いたのが、オートメーション化されたところと、人の手を使う部分がきちんと共存しているところです。
石油ファンヒーターは、マイナス20度という過酷な環境での着火試験に加え、着火中の室内における酸素・二酸化炭素濃度の計測テストなどが行われています。
また、加湿器では、音が響かないように工夫された防響室での騒音テストが必須だそうで、羽切り音を出さないための工夫を重ねているそうです。
ダイニチ工業が、10年間も業界のトップを走り続けているのは、モノづくりへの飽くなき探求はもちろん、企業としての取り組みが地元の人たちに愛されていることも理由のひとつかもしれません。今年の冬は、石油ファンヒーターを選んでみるのも良さそうですね。
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(写真・文/今西絢美)
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。