【トヨタ ハイラックス同乗試乗】13年ぶりに日本復活!抜群の悪路走破力に驚いた

ハイラックスは、1968年に初代モデルが誕生して以来、約180の国と地域で販売され、累計販売台数は約1730万台という人気モデル。日本国内では、6世代目モデルが2004年に販売を終了しましたが、実は今でも、約9000名のオーナーがいるとのこと。

そうした従来モデルユーザーからの要望や期待もあり、今回、復活を遂げたハイラックス。新型は、ダブルキャブの5人乗りで、従来モデル=6世代目よりも居住性がアップしています。とはいえ、5ナンバーサイズに収まっていた6世代目とは異なり、現行モデルは全長5335mm、全幅1885mmとかなり“成長”! 1ナンバー枠のため、毎年、車検が必要で、高速料金も割高となるなど、所有するには少々ハードルが高い感もありますが、荷台にアウトドアグッズなど趣味の道具を満載して走る姿に、憧れを抱く人も多いはず。筆者もかつて、小型のピックアップを所有していたことがあるので、このスタイルは素直に「カッコいい!」と思ってしまいます。

新しいハイラックス、確かにサイズは大きくなりましたが、その分、室内や荷台も広くなり「これなら荷台にバイクや自転車を積んで、家族や友人たちと出掛けられるな」と妄想を膨らませてしまいます。

実際に乗り込んでも、フロントシートはもちろん、リアシートの足元も余裕のある空間が広がり、下手なSUVよりも居住性は高そう。シートの座り心地も、商用車というよりは高級SUVに近い感覚です。

搭載されるエンジンは、両グレードとも2.4リッターのクリーンディーゼル。最高出力は150馬力とやや控えめに感じますが、最大トルク40.8kg-mを1600~2000回転で発生しますので、未舗装の上り坂を走破するといったシーンでも頼りになりそうです。

その優れた走行性能を実際に体験してもらおうと、発表会場には特設コースが用意されていました。コースには4つのセクションが設けられ、互い違いに丸太を積み上げた部分を乗り越え、片側だけ丸太に乗り上げる箇所を通過。そして、金属製の急な階段を登ってスロープを下り、最後はスラロームを駆け抜けます。

新しいハイラックスはパートタイム4WDで、セクションに入る前にダッシュボードのダイヤルを操作し、4WDへと切り替えます。ギヤ比に応じて「ロー」と「ハイ」というふたつのモードが用意されています。

最初のセクションでは、丸太が互い違いに設置されているので、ひとつの車輪が完全に宙に浮いてしまいます。下手な4WDシステムでは、浮いた車輪に駆動力が集中してしまい、前に進めなくなってしまうこともあるシーン。しかしハイラックスは、通常の4WDモードでも浮いた車輪にブレーキを掛けることで、これくらいは通過できるのだとか。ちなみに今回は、より駆動力のかかるデフロックモードを選択したので、いとも簡単にクリアできました。

続いては、片輪を丸太に乗り上げ、車体が30°ほど傾くセクション。車内に乗っていると「横倒しになるのでは?」と思うほど傾きますが、これも全く問題なく通過。乗用車をベースとするモノコックフレームのSUVだと、かなり車体がヨレそうな場面ですが、頑丈なラダーフレームを採用するハイラックスは、そんな気配もなくクリアできました。

次は、金属製の階段を登ります。スロープはタイヤの性能が高いと登れてしまうこともあるそうですが、階段の場合は接地面が少なく、タイヤが一瞬、離れてしまう場面もあるため、車体やサスペンションを含めたトラクション性能が問われるとのこと。当日は小雨で濡れた状態だったため、かなり滑りやすかったはずですが、これもいとも簡単に登り切ります。

下りはスロープになっていますが“ダウンヒルアシストコントロール”を使えば、一定速で下っていくことができます。さらに、下り切る手間で停止し、バックでスロープを登っていくという荒技も余裕でこなしてくれました。

そして最後は、大き目で速度の乗るスラロームを走行。車高が高くサスペンションのストロークも長いため、かなりロールしそうなシーンですが、不快なロールはなく、乗り心地は高級SUVと遜色ないもの。後輪にリーフスプリング(通称“板バネ”)を採用しているとは思えない、快適な乗り心地でした。これならラフロードはもちろん、街中や高速道路などでも快適に移動できそうです。

Zグレードであれば、歩行者検知機能付の“プリクラッシュセーフティ”や、車線逸脱回避を支援する“レーンディパーチャーアラート”を標準装備するなど、先進安全性能も充実(残念ながら“アダプティブクルーズコントロール”は装備されていませんが…)。アクティブにアウトドア趣味を楽しみたいけれど、SUVではもの足りない…という人には、最適な選択肢ではないでしょうか。

ちなみに発表会当日は、ハイラックスのほかに、新型の「ランドクルーザー プラド」や「FJクルーザー」のファイナルモデルもお披露目されました。

ランドクルーザー プラドでも同じコースを同乗走行できたのですが、先述したハイラックスに負けず劣らず、抜群の走破力を実感できました。ピックアップではなく、SUVタイプの「ハイラックス サーフ」に憧れていた人たちには、こちらが本命かもしれません。

<SPECIFICATIONS>
☆ハイラックス Z
ボディサイズ:L5335×W1855×H1800mm
車重:2080kg
駆動方式:4WD
エンジン:2393cc 直列4気筒 ディーゼル
トランスミッション:6速AT
最高出力:150馬力/3400回転
最大トルク:40.8kg-m/1600~2000回転
価格:374万2200円

(文/増谷茂樹 写真/増谷茂樹、トヨタ自動車)


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