冷蔵庫の中身をすべて把握して管理するのはなかなか難しいもの。つい腐らせてしまったり、足りないものが把握できなかったり……ということがないようにしたいものですが、忙しいとなかなかできないことも。未来の冷蔵庫は、そんな「冷蔵庫の管理」も簡単にできるようになるのかもしれません。
複数のメーカーで見かけたのが、扉に大きな液晶画面が搭載されている冷蔵庫。Wi-Fiに接続されているので、料理レシピを見たり、YouTubeを流したりしながら料理ができます。
今はレシピをインターネットで検索して参考にする方も多いので、冷蔵庫にこれだけ大きな液晶がついていれば料理中も見やすそうですね。日本の冷蔵庫にはほぼないのですが、こういった液晶付きのスマート家電が数多く展示されているのが印象的でした。
さらに今回のIFAでは、扉の内側にカメラを搭載した冷蔵庫が多数展示されていました。外出先からも中身を画像でチェックし、把握できるというものです。
冷蔵庫そのものを買い換えるのはハードルが高い……という方のために、カメラ単体で使えるものも今年のIFAでは登場しました。Smarterの「FridgeCam」は、扉につけることができます。冷蔵庫がWi-Fiに接続できなくても、同製品を取り付けるだけでネットにつながるようになり、気軽に中を確認できるようになります。
ドアが閉じられるたびに冷蔵庫の中身のスナップショットを撮り、画像はクラウドに保存。外出先ではアプリを開けば冷蔵庫に何を補充する必要があるか、すぐわかります。レシピを検索して足りないものは自動補充するだけでなく、冷蔵庫内の食品をみてレシピの提案などもしてくれるというから驚きです。
■携帯電話の周波数で調理する全く新しいオーブンレンジ
ミーレのブースで大々的に展示されていたのが、特定の周波数で電磁波を生成させるモジュラーユニットが搭載されており、2つのアンテナからオーブン内に電磁波を送る「ダイアローグ・オーブン」。
一般的な電子レンジの電磁波は2.4GHz帯ですが、同製品は915MHz帯周辺の電磁波で調理。伝達されたエネルギーがどれくらい吸収されたかを常に計測しながら調整を行い、食材だけにエネルギーを伝えるので無駄がないとのこと。なんと氷の中に入った食材だけを加熱することもできるそうです。また、一般的なオーブンレンジより早く調理ができ、アルミホイルも使えます。ドイツ限定の発売で、発売日は2018年4月、価格は日本円で約105万円。
■排気を外に出さない循環式の換気扇
高級ブランドのミーレでは、循環式の換気扇をいくつも見かけました。中に活性炭フィルターなどが入っているそうで、どこにでも設置ができるそうです。
このような循環式の換気扇が一般的なのは、ライフスタイルが関係しています。日本と違い、特にドイツ人の夕飯は「コールドミール」が多く、火を使わず、主にライ麦などのパン、チーズ、ハム、トマト、キュウリなどを切って並べるだけ。簡単な料理なので用意に時間がかからず、火を使わないので光熱費が節約できます。「毎日同じ料理ですから、献立を考える悩みもありません」とスタッフに説明されました。夕飯が毎晩コールドミールであれば換気扇もガンガン回す必要はなく、キッチンは汚れにくいのかもしれません。
もう一つ、住宅事情もあるようです。歴史のある古いアパートでは建物が石壁でできていることもあり、工事が難しく、換気扇用のダクトを設置できないところもあるようです。どこでも取り付けられる換気扇は、そういった住宅でも受け入れられているとのことでした。
ドイツのライフスタイルや住宅の環境から、換気扇は循環式でも十分なのかもしれませんね。日本でのハードな使用環境でも使えるのかどうか、気になるところです。
■日本では購入できない? 美味しくできるビール醸造機
「PicoBrew」は、ビール愛好家のために開発された家庭用ビール醸造機です。複雑な設備を用意する必要がなく、殺菌や掃除なども簡単とのこと。自分だけのできたてのビールを醸造することができます。新鮮な麦芽、ホップ、酵母が詰まったキットが多数用意されており、選んでセットすればいいので作るのは簡単。好みに合わせて調整できるとのことでした。
日本では残念ながら「酒税法」があるので作ることはできませんが、試飲してみるととても香りがよく、グッとくる魅力的な製品でした。日本では買えないのが残念です。
今回は、IFAで見つけた驚きのキッチン家電を集めてみました。まだコンセプトモデルで詳細がハッキリしないものもありましたが、ワクワクするようなものばかりです。実用化されるのが楽しみですね。
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(取材・文/石井和美)
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