[Gear Maniax #045] 対決!フラッシュライト単三電池2本クラス

ボディ形状で見慣れた感じがするのはNITECORE「MT2A」。細身のボディ形状でスリム。ヘッドパーツとテールキャップはシリーズで共通…という仕様は多く存在しました。ここ10年ほどの単三機種のスタンダードと言える形状です。

「MT22A」は、同じくNITECOREの最新モデル。「MT2A」とは型番が似ており同じマルチタスクシリーズですが、外観的にも内部的にも大きく仕様変更されています。最大の特徴は樹脂製のボディ。電池を並列に収納しています。ヘッド部分はアルミダイカストで放熱を考慮しています。

LED LENSER「P6X」は、LEDLENSERのスタンダード形状と言えます。シンプルかつ安定感を感じるデザイン。電池やLEDの仕様が違っても、一目でLEDLENSERとわかるデザインです。直径、全長共に「MT2A」よりひと回り大きなサイズ。サイズ的な無理をしないのもLEDレンザーの特徴です。好評のアドバンスフォーカスシステムを搭載、ワイドとズームの切り替えが可能になっています。

 

■配光

早速その配光を比較してみます。

「MT2A」「MT22A」はリフレクタータイプのため、それなりに似ている配光です。リフレクターの直径や深さを反映して「MT2A」の方が強めに集光します。一方、LEDLENSER「P6X」はワイドとスポットに切り替えができるのが特徴。レンズ式でワイド・スポットの切り替えができるライトは多くありますが、LEDLENSERのアドバンスフォーカスはより高い性能を実現しています。ただ、それがどこまで有効かというと難しいところでもあります。「MT2A」も「MT22A」もそうですが、リフレクタータイプはフォーカスコントロールを必要としない配光でもあります。手前から奥まで、操作の手間なく照らすことができるからです。

明るさもほぼスペック通りの印象。「P6X」の400ルーメンのスペックは伊達ではありません。瞬間的にでも最大の明るさが欲しいのであれば「P6X」が抜きん出ていることになります。

もうひとつ注目して欲しいのは、各モードの配分。

▼「MT2A」

「MT2A」は、TURBO:345ルーメン、HIGH:138ルーメン、MED:55ルーメン、LOW:17ルーメン。比較的バランスよく配置され、さまざまなシーンで明るさの過不足がない配分かと思います。唯一、非常に暗い場所で使えるようなLOWERまたはMOONのモードがないものの、それを求めているユーザーはそれほど多くありません。ある意味ではお手本のような、綺麗に配分されたモード設定だと思います。

▼「MT22A」

「MT22A」はLOWとMEDの間がかなり離れています。LOWは1ルーメン。一般的にはMOONモードに分類される明るさ。写真では真っ暗に写っていますが、肉眼では5m先をギリギリ視認できます。暗順応した目でも不快感がなく、最低限の行動はできる明るさ。主に防災用として、こういったモードを求める人は多くいます。しかし、3モードしかない「MT22A」にこの明るさを載せてきたのはちょっと意外。MEDは45ルーメン、HIGHは260ルーメン。ほとんどの作業はMEDでできます。MEDを常用しつつ、HIGH、LOWを時々…という設計思想かと思います。

▼「P6X」

「P6X」は3モード。HIGH:400ルーメン、MED:100ルーメン、LOW:10ルーメン。これも良いバランスかな。比較的割り切りやすいモード設定です。「MT2A」よりも広い範囲をカバーしている反面、不満があるような飛び具合でもありません。各モードの役割がはっきりしていて、使いやすい3モード。さらに8タップ(短時間の点灯)+クリックオンで、モードの配置を切り替えることができます。タクティカルなHIGHスタートと、日常生活で使用しやすいLOWスタートをユーザーの好みで切り替えできます。

こうしたモードの配分はユーザーの使用感に大きく影響します。フラッシュライトを選ぶとき、最大光量だけではなくこうしたモードの配分や操作方法の好みを考慮する必要があるわけです。

*  *  *

スペックや写真に現れない特徴として、NITECOREは2本ともフリッカーを感じない仕様。一方、LEDLENSERはLOW、MEDで調光のフリッカーを感じます。ただ、これは感じない人は全く感じませんし、不快に思わない人もいます。LEDLENSERはそれでも、かなり気にならないメーカーです。出席していない人を貶すようで恐縮ですが、G社や多くのアメリカ系ブランドはフリッカーへの配慮をほとんどしません。

 

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