同車のステアリングホイールを握りながら「ECOモード」、「Sモード」、「ノーマルBレンジ」と3種類ある走行モードのうち、最もスポーティなSモードを選択したところ…、スロットルペダルを軽く踏んだ瞬間に「ドン!」と太っとい駆動力が、まるでトコロテンのように提供されたのです。ニスモの手になる“スペシャルノート”は、文字どおり蹴っ飛ばされるように加速!! さらに、アクセルペダルを踏む量を加減すると、足先の動きに間髪入れずクルマが反応し、なんというか、あやつり人形のようにノートの動きをコントロールできるではありませんか!
ピュアガソリン車のように「エンジン回転数が上がっていく」とか「ギヤが落ちる」、はたまた「ターボのタービン音が高まる」といった“前置き”なしに、あたかもワープスイッチが入ったかのように、いきなり加速が始まる…そうしたEVの特性を極端に演出し、ドライバーを驚かせ、かつ喜ばせるのが、ノート e-POWER ニスモ・ニスモパーツ装着車のSモードなのです。
実際には、1.2リッター直3ユニットで発電機を駆動するので、相応にエンジン音は変動しますが、ペダル操作に対するレスポンスの良さは、まさにEVならでは。また、ブレーキペダルを使わずワンペダル(スロットルペダル)だけで、ノートの加速に加え、減速まで能動的に制御できる“e-POWER Drive”は、なるほど、新鮮なフィールです。
得てして、エコ方面の話題が先行しがちなノート e-POWERですが、ニスモパーツ装着車はファン・トゥ・ドライブを声高に主張できるモデル、といえます。ピュアガソリン車の「ノート ニスモ」(特に5MT車)にも感心しましたが、ニスモが手掛けると、クルマの動力性能がひと皮(ふた皮!?)むけるんですね。クルマが持つむき出しの“ファン”を堪能できるようになります。
…と、少し筆が先走りました。ノート e-POWER ニスモ・ニスモパーツ装着車は、「ノート e-POWER ニスモ」(246万4560円)をさらにスポーティにリセッティングしたモデル。チューニングの“ステージ2”といえましょうか。
ノート e-POWER ニスモも、標準車からパワーの出方を変更していました。燃費指向から、より力強さを追求した専用チューンが採用されていました。今回のニスモパーツ装着車は、それがさらにアグレッシブな味付けとなっているのです。
モーターが発生できるアウトプットの上限は決まっているので、パワーがより急激なカーブで立ち上がるようにしました。その最たるモノが、Sモードというわけ。
併せて、オーリンズ製のそれをベースにしたスポーツサスペンションも、ニスモオリジナルチューンが施され、セッティングが見直されています。試乗車に装着されたホイールは、ニスモ Sの純正17インチホイール。タイヤ銘柄は、ミシュランの「パイロットスポーツ4」でした。
「電気自動車というと、いまひとつ“走り”が期待できない…」。そんな不満を抱いている方に、ぜひご検討いただきたいスーパーEVが、ノート e-POWER ニスモ・ニスモパーツ装着車です。各種エアロ、専用パーツを身にまとい、ノートの雰囲気を大幅に変えているだけでなく、その走りもまた、ガラリと変わっているのでした。