まずは、インプレッサ スポーツ 2.0i-S アイサイトから見ていきましょう。2リッターのボクサーユニットを搭載したインプレッサは、フロントとサイドにSTIのアンダースポイラー、リアのルーフエンドにSTIリアルーフスポイラーを装着し、バッチリとSTI色に染めている…はずが、うーん、いずれも地味なブラック塗装なので、クルマに興味がない人が見たら、ノーマル車との違いが分からないんじゃないでしょうか。
…といっても、SUBARUファンにとっては「むしろそこがいい!」…に違いありません。ブラック塗装が施されたSTI提供のスペシャルホイール(17インチ)が、やはり地味〜に同車のすごみを増しているのも、SUBARU車らしくてグッドです!
こうしたSUBARUフリークのツボを押さえたエクステリアパーツも大事ですが、STIの手になるインプレッサ スポーツの醍醐味は、目につかない部分にこそあるのです。
ボンネットを開ければ、SUBARU好きにはすっかりお馴染みのSTIフレキシブルタワーバーがエンジンルームを横切り、ボディの下面には、STIフレキシブルドロースティフナーが装着されます。
フレキシブルタワーバーは、いうなれば、中央部にピロボールを配したタワーバー。横方向の動き(ボディのゆがみ)はガッシリ抑えますが、左右で異なる上下動はある程度許容し、乗り心地の悪化を防ぐ。そんな柔軟性あるボディ補強パーツです。
フレキシブルドロースティフナーは、コイルバネを内蔵したパーツ。あらかじめボディのフレームと、サスペンションを取り付ける部分(メンバー)とを引っ張り続ける、つまりテンションをかけることで、ドライバーの操作に、クルマがよりクイックに反応できるよう準備します。フレキシブルタワーバーと併せ、素早く、素直にレスポンスする体勢を整え、思いどおりのハンドリングを実現するのです。
試乗車は、さらにSTIラテラルリンクセットを装着。これは、リアサスペンションアームの取り付け部を、ゴムのブッシュから“ピロボール”に変更し、アームの動きをスムーズにしたもの。サスペンションのピロボール化と聞くと、レーシーなイメージが喚起され、なんだかワクワクしますね! 取り付け部の剛性アップに加え、路面の凹凸への対応を早く、スムーズにすることで、コーナリング時の安定性アップを図っています。
現行のインプレッサは、元々乗り心地のいいクルマですが、STIパーツ装着車のステアリングホイールを握ると、ドライブフィールがさらに一段と上質に!…なった気がします。全体に「シャキッ!」としている上、滑らかにアシが、そしてクルマ全体が動いてくれる。それでいて、ダンパー、スプリングなどのスペックは、ノーマルモデルから変更ないとのこと。なんだか不思議です。
「人もクルマも体幹が大事」とスタッフの方が説明してくれましたが、「なるほど!」の仕上がり。スバルらしい、渋いチューングの真髄を垣間見た気分です。