【BMW X3試乗】グッと立派になった3世代目。プレミアムな走りはBMWの面目躍如

■新型X3はハンドルを握るのが楽しい!

といっても、新型X3はボディが大幅に拡大されたわけではありません。その車体寸法は、全長4720mm、全幅1890mm、全高1675mm。先代より55mm延ばされた2865mmのホイールベースに合わせ、全長も55mm長くなり、車幅は10mm広くなりました(全高は変わらず)。それでもフットプリントは、メルセデス・ベンツ「GLC」のそれに、すっぽり収まります。

大きく立体的になった“キドニーグリル”、アグレッシブなフロントバンパー側面下部のエアインテーク、そして、フロントフェンダー後ろのエアブリーザー(エア抜き)などが、SUV…BMWいうところのSAV(スポーツ・アクティブ・ヴィークル)らしさを強くアピールします。後端がキックする6ライトのサイドウインドウグラフィックと、なだらかに落ちるルーフラインの調和もいいですね。BMWらしい。

日本に輸入されるX3のラインナップは、大きく分けて、2リッター直4ターボ(184馬力/29.6kg-m)と、2リッターディーゼルターボ(190馬力/40.8kg-m)の2種類。希望小売価格は、前者が639万円から、後者が662万円からとなります。

上記の「スタンダード」モデルに加え、それぞれ「xライン」と「Mスポーツ」、計3種類の仕様が用意されます。各部をクローム仕上げとし、19インチホイールを履いたラグジュアリー寄りのxラインは、ガソリン、ディーゼルともにスタンダードより45万円高。専用の空力パーツを装着し、オプションで20インチが用意されるMスポーツは、同じく48万円高となります。

今回はそのうち、X3 xドライブ 20d Mスポーツに試乗することができました。

実車を前にすると、2世代目よりも落ち着いた雰囲気ですね。視覚的な質感が上がって、押し出しが増したといいますか。運転席に座ると、その印象はさらに強まります。試乗車は、セットオプションの“ハイラインパッケージ”(29万2000円)がおごられていて、随分と豪華な室内です。

シートヒーター付きの“ヴァーネスカレザーシート”は、サイドサポートの張り出したスポーティな造形ながら、座面、背面ともに、凝ったステッチとエンボス加工が施されたぜいたくなもの。体への当たりは意外と硬めですが、サポート性が良く、ドライバーをシャキッとさせるシートです。

さらに、ヘッドアップディスプレイやジェスチャーコントロール機能が含まれた“イノベーションパッケージ”(17万1000円)、電動パノラマガラスサンルーフ(20万2000円)、ハーマンカードン・サラウンドサウンドシステム(9万4000円)など、総額92万2000円のオプションを装備した今回の試乗車の価格は、802万2000円でした。

初代X3が、未塗装のバンパーでアクティブさを誇示していた…つまり、「惜しげなく使えるSUV」を主張していたのは、すでに10年以上前のこと(初代のデビューは2004年)。ボトムレンジのSUVモデルたるX1が順調に成長した今、兄貴分のX3がより高級指向になるのは自然なことでしょう。

フロントに搭載された2リッターディーゼルターボは、コモンレール式の直噴ユニット。アイドリングストップ機能、減速時の回生システムと組み合わされ、カタログ燃費は17.0km/L(JC08モード)と記載されます。

先代モデルより6馬力高い最高出力190馬力を4000回転で、同じく2.1kg-m太い最大トルク40.8kg-mをわずか1750回転で発生。旧型より20kgほど重くなった1860kg(試乗車はサンルーフ付きのため1890kg)のボディを、力強く運びます。

“エンジン縦置き+後輪駆動(ベースの4WD)”というレイアウトに起因する、プレミアムSUVならではのスムーズで自然な走りが、BMWらしい。xドライブメカは通常FRで、必要に応じて電制多板クラッチを介してフロントタイヤにも駆動力を送る…はずなのですが、センサーが鈍いドライバー(←ワタシのことです)が、そのことを意識することはありませんでした。

ハンドルを握るのが楽しいX3はまた、ファミリーカーとしても優秀です。スクエアなボディ形状を活かし、前席はもとより、後席の居住性も高い。座面の高さが適当で、膝前、頭部まわりの空間も十分。居心地のいいリアシートです。もちろん、3名掛けが可能ですが、フロアに太めのセンタートンネルが縦貫するので、センターシートは臨時用と考えるべきでしょう。

後席の背もたれは、4:2:4の分割可倒式。乗員と荷物の量によって荷室容量を案配できます。ちなみに、後席背もたれのリクライニング機構はオプション(2万円)です。

安全装備の充実、運転支援機能の向上も、新型X3の大きな特長。リアビューミラー内にステレオカメラ、さらにミリ派レーダーをフロントに3基、リアに2基搭載し、自車の周囲を監視します。先行車の追従(含む渋滞時)、車線はみ出しの抑制、死角や後方にいる他車の存在を警告、そして、自動ブレーキによる衝突回避・被害軽減機能などが“ドライビング・アシスト・プラス”としてまとめられました。こちらは全グレードに標準装備です。

熟成した機関類をプレミアム感を増した内外装で包んだ3世代目のX3。ウィークエンドの友として、アクティブなファミリーカーとして、有力な選択肢になりそうです。

<SPECIFICATIONS>
☆20d Mスポーツ
ボディサイズ:L4720×W1890×H1675mm
車重:1890kg(電動パノラマガラスサンルーフ付き)
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 直列4気筒 ディーゼル ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:190馬力/4000回転
最大トルク:40.8kg-m/1750〜2500回転
価格:710万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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