モノづくりにおいては、これまで蓄積してきたノウハウを活かし、性能を高めていくことが常である。
しかし時には、それまでの常識を忘れ、常識を疑い、柔軟な考え方でブレイクスルーを起こすことも忘れてはならない。今回、マツダが次世代技術テーマである“SKYACTIV(スカイアクティブ)ビークルアーキテクチャー”に基づいて開発した先行試作車両に乗って、そんなことを強く実感した。
スカイアクティブという名称は、クルマ好きなら多くの人がご存じだろう。マツダが2012年に発売した先代「CX-5」から取り入れた新世代技術群であり、ディーゼルエンジンの“スカイアクティブ-D”、ガソリンエンジンの“スカイアクティブ-G”、そして、トランスミッションの“スカイアクティブ-AT”などがその代表だ。
ディーゼルエンジンは世界一低い圧縮比、ガソリンエンジンは世界一高い圧縮比、そして、ATは驚異的なロックアップ率と、いずれもそれまでの固定概念を打ち破る発想でつくられており、市場からは高い評価で迎えられている。
そして、その次のステップ…つまり、次世代スカイアクティブのひとつが、世界初の量産車搭載を見込んでいる圧縮着火ガソリンエンジン“スカイアクティブ-X”だ。市販予定は2019年ともう少し先だが、すでに先行試作車にメディア関係者を乗せる試乗会まで実施。すでに『&GP』でもレポートをお届けしているが、それを読むだけでも、いかに将来性のあるテクノロジーなのかが伝わってくる。
そして今回は、その革新的なエンジン“以外”の部分についてお伝えしよう。
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