■Windows XPユーザーはすぐに買い替えを!
現在、最新OSのWindows 10を筆頭に、様々なOSを利用しているユーザーがいると思う。古くは2001年11月登場のWindows XPから、2006年11月登場のWindows Vista、2009年10月登場のWindows 7、2012年10月登場のWindows 8、2013年10月登場のWindows 8.1まで数多い。「このパソコンはどうすればいい?」とお悩みの人もいることだろう。
まず、Windows XPを利用している人の場合、すぐにでも「パソコンの買い替え」をお勧めしたい。昨年に「Windows XPのサポートが終了します!」といったニュースが流れたことをご存じの方、ご存じない方もいると思うが、Windows XPは2014年4月にサポートが完全に終了してしまった。それ以降はセキュリティーホール(悪意のある外部の人によって不正アクセスが可能になるセキュリティーの“穴”)などに対するアップデートが全く行われていないため、インターネットなどに接続することはかなりの危険を伴う。最近は5万円前後で十分に使える(当然、10数年前のWindows XPパソコンよりは速い)PCが買えるので、ネットにつなぎたい場合はすぐにでも最新パソコンに買い替えよう。
そのほかのバージョンの場合は、使い方によってバージョンアップをお勧めする時期が微妙に異なる。
■まずは「必須アプリ」の対応を確認しよう
OSをバージョンアップする場合、まず「必須アプリケーションソフト」の対応状況を必ず確認しよう。必須アプリケーションソフトというのは、自分にとって必ず使いたいソフトのこと。年賀状作成アプリの「筆まめ」とか、経理・会計アプリの「弥生会計」など、プライベートや仕事で普段使っていて、絶対に止められないアプリという意味だ。
OSのバージョンアップによってアプリが非対応になってしまう場合や、OSのバージョンアップに合わせてアプリも有償でバージョンアップしなければならないこともある。「これだけは止められない」というソフトがある場合は、アプリのオフィシャルホームページなどで対応状況を必ず確認しよう。
■Windows 8/8.1ユーザーは今すぐバージョンアップ!
8月にWindows 7からバージョンアップしてWindows 10を使っている筆者の感覚としては、Windowsタブレット以外(デスクトップ/ノートパソコン)を使っているWindows 8/8.1ユーザーは今すぐバージョンアップした方がいいと思う。使い勝手が大幅に改善されているためだ。
Windowsというと、キーボードの「Windows」キーを押すと「スタートメニュー」が表示され、コントロールパネルを開いたりアプリを起動したりといった操作を行うようなスタイルになっていた。しかしiPadを筆頭にタブレット隆盛の時期に登場したWindows 8は、Windowsキーを押すと「モダンUI」などと呼ばれるタイル型の画面が登場するスタイルに“改悪”されてしまった。Windows Vistaや7からバージョンアップもしくは買い替えた人は、ここでかなり戸惑ったはずだ。
WindowsタブレットであればモダンUIもまだ我慢できるが、ワープロアプリのWordや表計算アプリのExcel、テキストエディターなどを使って日々の仕事をしているときに、タイル画面が出てくると仕事が完全に中断されてしまう。
Windows 10では、鳴り物入りで登場したモダンUIのデザインを踏襲しつつ、WindowsのDNAであるスタートメニューに融合させた。Windows 8があまりにも不評で登場したWindows 8.1の「スタートメニューらしきもの」も、インストールしたアプリの一覧が表示できるようになっただけで、旧来のスタートメニューの使い勝手の良さは戻っていなかった。Windows 8や8.1ではWindows 95からのレガシー(遺産)を捨ててモダンへの進化を志向したようだが、10ではレガシーをそのままモダンに進化させたという印象を受ける。
余談だが、Windows Vistaや7を搭載するパソコンを普段から使っていた筆者の母が、先日Windows 8.1搭載ノートパソコンを購入した。必須アプリが動くかどうかだけ確認してすぐに10にバージョンアップしたが、バージョンアップまでのほんの少しの間だけでもWindows 8.1の使い勝手にはかなり難儀していた。Windows 10になってユーザーインターフェースが大幅に変わったものの、基本的な操作方法に関するストレスがなくなったようで安心していた。
Windows 8/8.1が使いづらいと感じている人が、10にバージョンアップすることで一気にストレスが解消される可能性は十分にあるだろう。
■Windows 7ユーザーも1年以内にバージョンアップしよう!
続いてWindows 7ユーザーはどうだろうか。筆者は20年以上Windows OSを使い続けているなかで、Windows 7は安定性や機能面で最も使い勝手のいいOSだったと感じている。人はなかなか新しい環境に慣れることが難しいものだ。設定したいコントロールパネルの画面になかなかたどり着けないなど、慣れの問題はあるものの、Windows 10にバージョンアップして全くといっていいほどストレスを感じていない。Windows 7より軽快になったとも言われており、速度面でも十分に満足できている。
前述したアプリの互換性の問題だけは残るものの、Windows 7ユーザーは1年以内にバージョンアップしておいた方が良さそうだ。
■Windows Vistaユーザーはどうする?
直近の“レガシーOS”として問題になるのがWindows Vistaだ。前述のように、Windows XPはサポートが完全終了しているため問題外として、サポートが続いているOSとして最古のものがVistaとなる。
VistaはWindows 10への無償バージョンアップ対象OSではないが、Vistaユーザーはできれば10に有償でもバージョンアップすることをお勧めしたい。というのも、VistaはWindowsの歴史の中でかなりダメOSの部類に入るためだ。
Vistaの最悪な点は、とにかく“重い”ことにある。OSはバージョンアップ時に様々な機能が追加されることから動作が重くなることも少なくないが、Vistaはとにかく鈍重だった。2年後に登場した7の方がはるかに軽快になっているので、現在Vistaパソコンを使っていて速度的に「そこそこ使える」と感じている人なら、10にバージョンアップしても問題なく使えるはずだ。
Windows 10のパッケージ版は2015年9月4日に発売となり、実勢価格は1万4900円。Windows 7の場合はネット通販サイトで1万2000円前後で購入できる場合もあるので、少しでも安く抑えたいのであればWindows 7にバージョンアップしてからWindows 10に無償バージョンアップするという方法もある。
このやり方は、よほど慣れた人でない限りあまりお勧めはしない。ただし、まずWindows 7にバージョンアップして、必須アプリの対応状況を見ながら1年以内に10にバージョンアップするという方法ならいいかもしれない。
ちなみに、Windows 10へバージョンアップできるパソコンのシステム要件は以下の通りだ。
・メモリ:
32ビット版では1GB、64ビット版では2GB
・ハードディスクの空き領域:
32ビット版OSでは16GB、64ビット版OSでは 20GB
・グラフィックス カード:
DirectX 9 以上 (WDDM1.0ドライバー)
・ディスプレイ (画面解像度):
800x600
Windows Vistaが搭載されているパソコンのほとんどはこの要件を満たしているはずだ。今パソコンが「重いな」と思っている人は、激安の最新パソコンに買い替えるのもひとつの手だ。しかし古いパソコンをOSの入れ替えることで“延命”できる可能性があることも知っておくといいだろう。
(文/安蔵靖志)
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