■画面付きアナログスマートウォッチの登場は必然
まず背景に触れておくと、スマートウォッチ市場の主流は、「Apple Watch」や「Android Wear」など、PC・スマホメーカーが開発している画面全体がディスプレイになっているモデルが先行しました。そこに、時計メーカーなどが、アナログ文字盤だけどスマホに接続できる「コネクテッドウォッチ」と呼ばれる商品ジャンルを展開して追随する流れに。
こうしたアナログ文字盤を採用するモデルでは、ディスプレイ型に比べると電池持ちが良いというメリットがあります。「毎晩充電しなくても大丈夫」という言葉は、スマートウォッチの充電を億劫と感じる人にとって、魅力的に聴こえることでしょう。
しかし、心拍数などの測定データや通知の情報をリアルタイムに確認するには、やはりディスプレイがないと不便です。結局、毎回スマホを取り出すことになってしまっては、元も子もありません。フィットネスやヘルスケアを目的にする場合、アナログ文字盤では、なにかと不便があったのです。
そこで登場してきたのが、アナログ型のデザインを踏襲しつつ、小さいディスプレイも搭載するモデルというわけです。
■ディスプレイ表示が隠れないように針が避ける
さっそく「vivomove HR Sport Black」の外観をチェック。ケースはラウンド型で、サイズは直径43mm、重量は40.8g。ベースの素材には強化繊維ポリマーが使われており、ベゼル部分にはステンレススティールを用いています。
風防は平面のガラスです。文字盤は黒で派手な装飾はなく、インデックス、針ともにシンプルなバータイプを採用。秒針はありません。なお、0時・6時のインデックスと分針のみ黄色にカラーリングされ、見栄えのアクセントに。
ストラップ素材にはシリコンを使用。肌に触れる内側は、滑らかで平坦な表面になっています。肌ざわりはいいのですが、長距離のランニングなどで汗をかく場合には、若干蒸れることを覚悟した方がいいかもしれません。
一方、装着時に見える外側には菱形の模様があしらわれており、シリコンバンドにありがちな安っぽさは感じられません。
肝心のディスプレイには、縦9.6mm×横19.2mmのOLEDを採用。ただし、解像度は64x128ピクセルで、あくまでも文字やアイコンなどの簡単な情報を表示できるに留まります。
ディスプレイが表示される際には、針が10:10を指し示すように「ウィ~ンッ」と動きます。下部の情報が重なって見えなくならないように配慮されています。
充電には付属のアタッチメントを用います。先端がクリップ式になっており、同機の裏側にある端子を挟むようにして固定。
公式サイトの表記に従うと、稼働時間は「Smartモード」で最大5日間、「時計モード」で2週間となっています。
■操作方法をチェック
ディスプレイを操作する方法について確認します。
まず、画面を起動するには“腕を持ち上げるジェスチャー”、または “画面をダブルタップ”という操作を行います。
スマホでいうロック画面のようなものがあるのですが、ジェスチャーで起動した場合はこの画面はスキップされ、いきなりホーム画面へと遷移します。
一方、画面をダブルタップした場合は、まずロック画面が表示されるので、左右にスワイプしてホーム画面へと切り替える必要がありました。
ちなみに、針が10:10へと避けるのはここでいうホーム画面が起動したときで、ロック画面のような状態では動きません。
その後は、「タップ」「ダブルタップ」「長押し」「スワイプ(左右のみ)」の4通りの操作で扱います。スマホ慣れしている人なら、違和感なく扱えるでしょう。タッチ操作に対する感度も良好。最初は、ダブルタップとスワイプに苦戦するかもしれませんが、慣れてしまえば問題なく扱えます。
一方、筆者が少し気になったのは、腕を上げるジェスチャー操作で画面が起動し、その際に毎回針が10:10へと動いてしまうこと。確かにディスプレイは見えやすくなりますが、挙げる瞬間に注視していないと、肝心の時針が指している数字を見逃します。
とは言え、ディスプレイには時刻をデジタル表示できますのでご安心を。しかし、「そもそも何のためにアナログデザインを選ぶのか」という疑問も残りますね。針で時刻を確認したい人は、本体が反応しないように腕をそっと動かすと良いかもしれません。