【アウディ SQ5試乗】スポーツカー好きも満足の走り!上質な仕立ては“らしさ”満点

■速さもラグジュアリー感もアウディらしく図抜けた1台

見た目はSUVだけれど、アクセルペダルを踏み込めばたちまちスポーツカーに変身する。それがSQ5だ。

アウディの「S」シリーズは、走りを強化した高性能バージョン。ハッチバックやセダンなどの「A」シリーズをベースにした「S3」や「S4」、「S6」のほかに、SUVの「Q」シリーズを高性能化した「SQ〜」というモデルが用意されていて、SQ5はQ5をベースにした高性能SUVである。ちなみに「RS」シリーズは、さらに高性能な仕立てが施されたスペシャルモデルだ。

Q5とSQ5の違いは、なんといってもパワートレイン。2リッターの4気筒ターボエンジン(252馬力)を積むQ5に対し、SQ5は3リッターのV6ターボエンジンを搭載する。Q5でも十分な動力性能を備えるが、そこからさらに102馬力アップとなった強心臓が生み出す加速力は“暴力的”ですらある。

アクセルを踏み込んだ際のSQ5がスポーツカーらしく感じるのは、単に速さだけではない。その時に排気管が響かせる太い音と、エンジンから放たれる甲高い音とのアンサンブルは、まるでレーシングカーのような迫力。サーキットを本拠地とするSシリーズの血が全身に流れていることを、しっかりと感じさせるのだ。怒涛の加速と相まって、SQ5が野獣であることをきっちりカラダに教え込まれることになる。

コーナリング性能だって期待を裏切らない。重心の高いSUVは、コーナリングが不安定になりがちという物理法則は、どんな技術を持ってしても乗り越えられないが、SQ5に乗っていると、そんな物理法則が変わってしまったのではないか? と錯覚させられるほどだ。不安感がないどころか、ハンドルを切れば反応の遅れなくシャープに向きを変え、スポーツカーのような鋭いコーナリングを楽しませてくれるのだ。

世界のSUVは、BMWの初代「X5」とポルシェ「カイエン」が登場して以降、ハンドリングが劇的に変わったが、SQ5はその最先端を走っていて、スポーツカーらしい走りと楽しさを兼備。まさに、スポーツカー好きも満足できるSUV、それがSQ5の持ち味といえるだろう。

一方、現代の“羊の皮をかぶった狼”を名乗るならば、単に速いだけでは許されない。上級感はマストである。その点、SQ5はどうだろうか?

例えば、シート表皮は標準状態でもQ5より上級なアルカンターラ/レザー張りだが、撮影車両にも装着されているオプションの「レザーパッケージ」を選べば、肌触りの柔らかさが自慢のファインナッパレザー製の表皮となり、さらに、キルティング処理が施されてなんともラグジュアリーな仕立てとなる。プレミアムセダンと比べても遜色のないSQ5の豪華なインテリアは、単なる高性能車ではなく、プレミアムカーであることを主張している。

高性能であることは、走らないと分からない。しかし、ラグジュアリーであることは、乗り込めばすぐに分かる。それが、SQ5のクルマづくりなのである。

当然、装備もQ5の上をいく。Q5ではオプション扱いとなる、左右後方の車両の存在を教えてくれる“アウディサイドアシスト”や、後方を監視し、万が一、後続車に追突される際には衝撃を緩和する“アウディプレセンスリヤ”といったアイテムまで標準装備。安全面においても、SQ5は“Q5シリーズ”の最上級なのだ。

こうして見ていくと、SQ5とは、SUVの皮をかぶったスポーツカーであるといえる。ベースモデルのQ5と変わらない実用性も備えているから、ファミリーユースにも最適だ。しかも、速さだけでなくラグジュアリー感も、アウディの中で上位となる仕立てなのである。

<SPECIFICATIONS>
☆SQ5
ボディサイズ:L4685×W1900×H1635mm
車重:1930kg
駆動方式:4WD
エンジン:2994cc V型6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:354馬力/5400〜6400回転
最大トルク:51.0kg-m/1370〜4500回転
価格:887万円

(文&写真/工藤貴宏)


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