従来のS1シリーズを見慣れていると、薄いヘッドにはちょっと驚かされます。S1を初めて見たときも驚異的な小ささだと思いましたが、S1 MINIはさらに上をいっています。
コンパクトライトの代表格、SUREFIRE E1Eのボディとほぼ同じ長さに全てが詰まっています。
従来のS1とは表面の滑り止め形状が変わりました。S1は端正なイメージでしたが、S1 MINIは若干ワイルドな感じでしょうか。もともとOLIGHTは鋭いチェッカリングで滑り止めをするというデザインコンセプトを好まないので、滑り止め効果は似たようなものです。
ボディにはクリップを装着。モダンなコンパクトライトらしい基本装備。全長のほぼ全域をクリップがカバーしています。クリップは双方向に差せるもので、好みの方向に固定可能です。
非常に軽量なため、この状態でキャップをかぶっても全く苦になりません。S1でも十分軽いと思いましたけどね。半端なヘッドランプは喰ってしまう機能性。こうしたシーンは多くはないのでしょうが、やはりあるのとないのでは大違い。
テールにはお約束のマグネットを内臓。意外と役に立つ機能です。固定力はそれほど強くありませんが、硬質なHA3が施されたボディでは対象を傷つけやすいこともあり、最低限の磁力があれば十分かと思います。
内臓充電池は、直接マイクロUSBを挿して充電できるタイプのものになりました。従来のマグネット充電方式の方が圧倒的に気楽でしたけれどね。推測ですが、従来のタイプでは乾電池を充電して爆発させる人が多かったのではと推測します。当店アカリセンターにも相談があった事例です。それと比較すれば、まず間違いようがないため、エントリークラスのモデルとしては正解でしょう。汎用の16340充電池も普通に使用できます。
S1 MINIは搭載LEDとレンズの違いで2種類のバリエーションがあります。
ノーマルタイプ:CREE XM-L2 / 6500K / 600lm / CRI70
高演色タイプ:CREE XP-G3 / 5500K / 450lm / CRI90
ノーマルタイプの方がハイパワーだが、高演色(HCRI)の方が色が自然に見えるという設定です。CRIはカラーレンダリングインデックスの略で、色彩の再現度を数値化したもの。一般に90以上になると演色性の高さを売りに出来るようになります。
また、これらの光を集光するレンズにもこだわりがあり、ノーマルタイプがクリアレンズ、HCRIタイプがフロストレンズになっています。しかも、単純な表面の違いではなく、レンズの構造自体も異なります。LEDが小さなHCRIタイプの方が、レンズの有効直径が小さくなっています。マスプロメーカーがここまでのこだわりを見せてくるとは思いませんでした。
コンパクトサイズのライトとしては十分以上に明るいです。配光は拡散系。この拡散ぶりは非常に優秀。単純に配光が広いのではなく、きちんと集光されて前方に光が飛び、なだらかに減光しつつほぼ真横まで光が回ります。こうした狭い棚の間でも手前から奥までストレスフリーに一望できます。この階調のなだらかな変化は、カメラでは捉えきれません。
わかりやすくするために真横から少し浮かせて撮ってみます。
ほぼ180度の照射角。これは制御されていない光が漏れているのではなく、真横から前方までシームレスにつながるものです。
普通じゃん?と思うかもしれませんが、一般的なライトの場合、真横付近はリング状のムラの光になります。旧S1も、ムラが非常に少ない優秀な光学系ですが、S1 MINI HCRIの出来はその上を行きます。クリアレンズのノーマルタイプではHCRIよりもやや劣りますが、160~170度ほどの広い照射角、S1よりもムラのない配光は変わりません。どちらも非常に美しいハイレベルな拡散配光で、旧来のものとは明白なジェネレーションの差を感じます。
コンパクトなライトはつまむように扱うしかなく、操作性が犠牲になっている部分は否めません。しかし同時に可搬性の良さというメリットも併せ持っているのも事実。OLIGHT S1 MINIは単純に小さいだけでなく、性能やコンセプトに納得できるライトに仕上がっています。XP-G3の高演色LEDもまだ目にする機会は少ないですね。ぜひお試しください。悪くないですよ、コレ!(アカリセンター価格:5599円)
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(文・写真/アカリセンター・HATTA)
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