【日産 リーフ試乗】総行程300kmのロングドライブへ!EVだけど無事に完走できる!?

■低重心を活かしてスポーツドライビングも得意

スタートから約3時間。高崎ICで降りた時の走行距離は180kmほど。都内での渋滞や高速道路上での向かい風という悪条件も重なり、メーターが示すバッテリー残量は20%弱、航続可能距離は60kmといったところです。

セーブしながら走れば、なんとか目的地の軽井沢までたどり着けそうですが、メーターとにらめっこしながらの運転では、ドライブを楽しめません。そこで、ランチ休憩中に、近くの日産ディーラーで充電をさせてもらいました。そして、わずか1時間弱の休憩中に、バッテリー残量は90%台へ、航続可能距離も200km以上へと回復しました。

ならば! とばかりに、世界遺産に登録された富岡製糸場を経由、妙義山の麓をとおり、タイトターンが続くいにしえの旧碓井峠を抜けるルートを選びます。上信越自動車道や碓井バイパスが整備されている今日ですが、自由気ままなルートを選べるのも、クルマ旅の醍醐味。それをしっかり享受しよう、という趣旨です。

国道18号線を西へ進みJR信越本線の横川駅を過ぎると、バイパスと旧道の分岐が現れますが、ここは迷うことなく、旧碓井峠へとステアリングを切ります。軽井沢まで16kmほどルートは、前半こそ緩やかなカーブがメインですが、中盤以降はステアリングを大きく切り込むタイトなコーナーが続き、アップダウンもなかなかの激しさです。

そんな時に効果を実感できたのが、アクセルペダルだけで加減速と停止を可能とした、リーフの“e-ペダル”です。初めて使った際は、アクセルオフ→回生ブレーキの際に生じる、想像を上まわる減速Gに少々驚きましたが、操作そのものは10分、15分ほどで慣れるレベル(その間は周辺の交通状況に気を配りながら安全運転にご注意を)でしょうか。ちなみに、リーフのe-ペダルで生じる減速Gは、最大0.2Gとのこと。感覚としては、街中で強めにブレーキを踏み込んだ時、といえば想像がつくでしょうか。このe-ペダル、減速だけでなく停止も可能で、さらに油圧ブレーキとも統合制御されており、停止後はその状態を保持してくれます。

操作に慣れたとはいえ、ワインディングロードで使えるの? という単純な疑問を抱きつつ、ECOモードはオフ、e-ペダルはオンの状態で、峠道セクションへと進みます。そこでの結論は、かなりいい!

普段、MT車に乗っている私ですが、変速や減速といった操作では、ペダルの踏み換えなどで少なからずタイムロスが生じます。一方e-ペダルでは、右足の操作だけですし、減速・加速のつながりもスムーズかつ意のまま。モーターの強力なトルクによる立ち上がり加速も快感です。

さらにリーフは、ブレーキ制御による“インテリジェントトレースコントロール(コーナリング安定性向上システム)”が採用されている上、バッテリーなどの重量物が車体の中心、かつ低い位置に搭載されていることで、安定したコーナリングを披露してくれます。サスペンションは柔らかめの設定なので、スポーティカーのようにキビキビとした動きでこそありませんが、路面にジワリと張りつくかのような感覚を味わえます。

そのレベルは、ワインディングでスポーツドライビングを十分楽しめるほどですし、e-ペダルならではの軽快なテンポをつかんでしまうと、コレはコレで新しい楽しさだ、と感じられると思います。

はてさて、今回は“電欠”こそしなかったものの、旧碓井峠での運転を楽しみ過ぎたせいか、目的地である軽井沢の充電スポットに到着すると、バッテリー残量は20%ほどまで減っていました。息を殺しての慎重ドライブであれば、精神的に疲れてしまいそうですが、たっぷりワインディングを満喫した後ですから、リーフも私も気持ちよく、充電モードへと移ることができました。

望外の楽しさ、というと開発した人に失礼かもしれませんが、リーフはEVでありながら、決して生真面目なだけの乗り物でないことが、今回のドライブ旅で十分理解できました。間もなく登場がウワサされる「NISMOバージョン」への期待も、グッと高まります。

エコはもちろん大事だが、まだまだ走りも楽しみたいという方、リーフは絶対にチェックしておいた方がいいですよ!

<SPECIFICATIONS>
☆G
ボディサイズ:L4480×W1790×H1540mm
車重:1520kg
駆動方式:FF
最高出力:150馬力/3283〜9795回転
最大トルク:32.6kg-m/0〜3283回転
価格:399万600円

(文&写真/村田尚之)


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