■スバル、レクサス、トヨタの各モデルが健闘!
●スバル「WRX STI」
スバル/STIチームからSP3Tクラスに参戦。5度目のクラス優勝を勝ち取り、終盤でリタイアした2017年の雪辱を果たした。マシンの駆動方式は、市販モデルと同様のAWDで、雨が降ったセクションでは抜群の車両安定性を生かし、同クラスのライバルに対し、1周当たり1分近いラップ差をつけて周回。上位クラスでハイパワーを誇る、ポルシェやBMWのGT3マシンの一部よりも速いラップタイムをたたき出すなど、悪天候に対する強さも印象的だ。今回のレースでのベストラップは9分10秒316。
●レクサス「LC」
レクサスの大型ラグジュアリークーペ「LC」は、トヨタ社内チームから排気量3000㏄以上での特別公認となるSP-PROクラスに参戦。総合96位、クラス優勝を果たした。予選タイムは8分34秒591で総合32位。決勝もベストラップは8分45秒355と速さはあっただけに、数々のトラブルに襲われたことが悔やまれた。
エンジンは"2UR-GSE改"という表記からも明らかなように、市販車とは異なる先行技術が投入されていて、将来に向けての実験も兼ねた参戦と噂されている。
●レクサス「RC-F」
レクサスの2ドアクーペ「RC」に、V8エンジンを詰め込んだホットバージョンをベースとしたマシン。日本人プライベーターを中心としたチームとして参戦。総合42位でベストラップは9分18秒585。
●レクサス「IS F CCSR」
V8エンジンを搭載した先代「IS」の高性能モデル「IS F」。そこにカーボン素材を多用するなど徹底的なダイエットを施し、300kgの軽量化を実現したレース専用マシンが「IS F CCSR」だ。こちらも日本人プライベーターを中心とするチームで参戦。総合43位。ベストラップは9分26秒149。
●トヨタ「GT86」
2018年のニュル24時間耐久レースで一番参加台数の多かった日本車が「86」だ。欧州では「GT86」というネーミングで販売されていて、今回は地元のプライベーターから5台が参戦。最も好成績を収めたチームは総合70位で、ベストラップは10分12秒027。
●トヨタ「カローラ」
なんと、ニュルにはあのカローラも参戦! ただし、日本で売っているモデルではなく“日本以外の国”で販売されるひと回り車体の大きな、通称“グローバル・カローラ”をベースとしたレーシングカーだ。Toyota Gazoo Racing Team Thailandから2台がエントリー。残念ながらどちらもリタイアとなったが、ベストラップは10分26秒682と、同クラスのGT86に迫る実力を示した。
* * *
ここからは、日本車以外で気になった珍しい参戦マシンをご紹介したい。参加台数が多いのは、ポルシェ「911」&「ケイマン」、BMW「6シリーズ」&「2シリーズ」、アウディ「R8」、メルセデス・AMGなど、走りを磨いたドイツ車だが、中には驚くべき車両も出走。
本来なら、2011年に定められたレギュレーション=「10年以上前に生産されたクルマの参加は認められない」によって出場できないのだが、以前から毎年参戦しているということで、特例による参戦が許されているのだ。
●オペル「マンタ」
1970年から'88年まで生産されていたオペル「マンタ」がエントリー。実はニュル24耐では有名な1台で、ファンも多いマシン。見た目は古いが、ベストラップは10分2秒679と意外な速さをみせる。
●BMW「318 is」(E36型)
BMWのエントリー台数は多いが、ここまで古いモデルは珍しい。しかもM3ではなく、ベーシックな「318 is」である。ベストラップは11分28秒134。総合98位でチェッカーフラッグを受けた。
●オペル「カリブラ」
1989年から'97年まで販売されていたオペル「カブリラ」。ベストラップは11分16秒049。こういった古いモデルが、ポルシェの911やアウディの「RSシリーズ」、メルセデス・AMG「GT」などの最新GT3マシンに交じって戦うのが、ニュル24耐の懐の広さであり、人を惹きつける理由のひとつだ。
(文&写真/&GP編集部)
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