【マツダ アテンザ刷新】話題の技術を先行投入!6年目の大改良でより美しく、さらに高級に

■新スエード調素材やリアルウッドで旗艦らしい高級感を実現

デビュー6年目を迎えたアテンザですが、今回の商品改良は「クルマを愛するお客様の毎日を、もっと活力と充実感に満ちたものにする」をテーマとして掲げています。

マツダらしく、ちょっと哲学的なテーマですが、改良型の商品特徴は“磨き上げてきた圧倒的な美しさと力強さ”、“革新と伝統の融合が作り出す質感”、“心に余裕をもって運転できる走行性能〜Effortless Driving(エフォートレス・ドライビング)”の3つ。その中で、同クラスのクルマを購入検討中の人や、現行モデルのオーナーの中には、やはり「走りが気になる」という人が多いと思います。なのでまずは、その点からチェックしてみましょう。

まずエンジンは、従来モデルと同様、ガソリン仕様は2リッターと2.5リッターの“SKYACTIV-G(スカイアクティブ-G)”、ディーゼル仕様は2.2リッターの“SKYACTIC-D(スカイアクティブ-D)”を継承しつつ、それぞれに改良を施しています。

中でも、2.5リッターのSKYACTIV-Gは、先に改良を受けた「CX-5」に続いて“気筒休止”システムを新採用しています。これは、低負荷時に4気筒のうち2気筒分の点火と燃料供給をカットすることで、燃費を向上させるという仕組み。カタログ上の数値には現れない部分ではありますが、実用燃費では十分な効果を見込めるそうです。最高出力や最大トルクも犠牲になっておらず、従来モデルの188馬力/25.5kg-mに対し、新型は190馬力/25.7kg-mと、わずかではありますが出力向上を実現しています。

一方、ディーゼルのSKYACTIV-D2.2も“急速多段燃焼”技術を新採用することで、最高出力と最大トルクが175馬力/42.8kg-mから190馬力/45.9kg-mへとアップしました。

確かに、ガソリン、ディーゼルとも、ひと目で分かるような改良ではないかもしれません。でも、クルマの持つ力をドライバーの意図どおりに発揮でき、心に余裕を持って運転できる動力性能、そして、さらなる上質な走りを追求したそうです。

一般的に、モデルライフの途中で手を加えられることが少ないボディや足まわりにも、大幅改良が施されたことも大きなニュース。ボディは、次世代構造技術“SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)”の要素を一部先取りし、サスペンションの構造が変更されたほか、車体を構成するパネルの新規開発や板厚アップ、カウルクロスメンバーの板厚アップなどを行っており、乗り心地や操縦性、そして静粛性の向上を図っています。

サスペンションも、スプリングやダンパーの特性変更だけにとどまらず、サスペンション取り付け部の剛性強化、フロントダンパーの大径化、トップマウントの材質変更など、細部にわたって変更を受けています。これらの改良により、サスペンションは細かい動きや振動でもしっかり滑らかに動くようになり、ドライバーはより意のままにクルマを操ることが可能となったほか、滑らかで快適な乗り心地を実現しています。

加えて、今回の大幅改良ではタイヤを構造から見直し、最適化を図ったマツダ独自の新開発タイヤ(ブリヂストン「TURANZA(トランザ) T005A」)を採用しています。この新タイヤは、具体的に解説すると、サイドウォールをしなやかに、トレッド面をしっかりと、というセッティングを施しており、タイヤからサスペンションへの入力が、連続的かつ滑らかになっているそうです。実はサスペンション自体は、スプリング、ダンパーの減衰力ともにアップさせることで、引き締まったセッティングになっていますが、この新タイヤによって、滑らかな乗り心地と操安性を両立しているのだそうです。

さらに静粛性という点においても、アテンザは大きな進化を遂げたと、開発陣は胸を張ります。“声が透る洗練された空間”をコンセプトに、先に挙げた車体や足まわり改良のほか、フロアマットの開口部低減、ルーフ部のトップシーリング(内張り)の材質を変更して吸音性を高めるなど、多岐にわたる改良を実施。不快なノイズを遮断し、クリアに会話できる静かで快適な空間を実現したといいます。

これらメカニズムに関する進化も見どころではありますが、エレガントさを増したエクステリアやインテリアも気になる部分といえるでしょう。

エクステリアで一見して気づくのは、フロントグリルやヘッドライトのデザインが変更されたこと。従来のフロントグリルは横バータイプでしたが、新型では立体感のあるメッシュ風デザインへと刷新されたほか、薄くワイドな造形となったヘッドライトにより、精悍な顔つきとなりました。

また、セダンのリアエンドパネルとガーニッシュも水平基調の造形に変更することで、より落ち着きあるスタイルを演出しているのも見どころでしょう。

細かい部分では、グリルからヘッドライトへと伸びるメッキ部分がライト下部へと移動し、バンパー形状が改められたことで、アテンザらしい躍動感を保ちながら、フロントからリアへの連続感が高まり、落ち着きとエレガントさを高めています。ちなみに、ヘッドライト外周部やリアコンビランプ内側といったディテールの仕上げを向上させたり、タイヤハウス内部のマッドガードを濃色化したりといった、普段あまり意識しない部分にも手を加えることで、上質さをアップさせています。

そして、今回の大幅改良で筆者が最も注目したのが、インテリアの仕上げでした。

インストルメントパネルやドアトリムのデザインが大幅変更されたことで、ワイド感が強調されたことは一見して分かるポイント。さらに、インパネ上面の意匠やエアコン吹き出し口の形状を変更することでウインドウへの映り込みの抑えるなど、造形の作り込みを徹底することで、視覚的な不快要素の排除にも力を入れているそうです。

内装に使用されるマテリアルについても、上位グレードの「Lパッケージ」では、柔らかな手触りのナッパレザーシート、木目の美しい栓の木(せんのき)による本杢(ほんもく)パネル、ドアやダッシュボードには独特の光沢を放つ新素材“ウルトラスエード ヌー”を採用することで、フラッグシップモデルにふさわしいエレガンスを表現しています。

また、空調やコマンダーなどのダイヤルスイッチの形状見直し(ローレット加工)、バニティミラー照明の位置変更や、やや黄色を帯びたLEDへの光源変更を実施したほか、フロントコンソールの分割もなくしています。こうした視覚的、感覚的な不快要素を低減する試みは徹底していて、ドアトリムやインパネ中央部の感触やパッド部のストローク感、手触りも細かく調整しているほか、ダッシュボードからドアトリムの連続感を高めるために、ステッチの位置をミリ単位で調整するなど、まさに“クラフトマンシップ”と呼ぶにふさわしい作り込みを行っています。

さらにシートは、フロントにベンチレーション機能が設定されたほか、デザインも一新されています。元々評価の高いマツダ車のシートですが、人間中心の思想に基づき、理想の姿勢を維持できるよう形状も改められました。

具体的には、骨盤部分をしっかりと支持し、脊髄が自然なS字カーブとなる状態に着座できる形状とすることで、不快な振動や疲労を感じさせることなく、クルマとの一体感を高めているそうです。また、従来型は肩部分が張り出した、ややスポーティな形状で、かつ横基調のステッチというシートでしたが、新型は肩部分の張り出しを抑えたほか、ステッチも縦基調へと変更しています。些細な変更に思えるかもしれませんが、乗り比べると体とのフィット感が大きく向上していました。

このほか安全装備についても、上位モデルにふさわしい内容へと進化しています。先進安全技術である“i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)”として導入されている“マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール”の自動追従機能が全車速対応となったほか、夜間の歩行者検知機能を強化した“アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート”なども新採用されました。

こうした徹底的な改良で、新型アテンザはどのような進化を遂げたのか? 人間中心のクルマづくりを追求し、人馬一体を開発テーマに掲げるマツダのフラッグシップの本領を、1日でも早く味わってみたいものです。

<SPECIFICATIONS>
☆セダン 25S Lパッケージ
ボディサイズ:L4865×W1840×H1450mm
車重:1540kg
駆動方式:FF
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:6AT
最高出力:190馬力/6000回転
最大トルク:25.7kg-m/4000回転
価格:354万2400円

<SPECIFICATIONS>
☆ワゴン XD Lパッケージ(4WD/6AT)
ボディサイズ:L4805×W1840×H1480mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:190馬力/4500回転
最大トルク:45.9kg-m/2000回転
価格:419万400円

(文&写真/村田尚之)


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