LEDはCREE XP-L HI。基本的には遠距離用のLEDです。しかしそれは、リフレクターによる集光を行う場合です。
ここで少し脱線します。HIタイプは、そうでないノーマルタイプ(HDという表記が入る場合もあります)と比べると、LEDの上にのっているドーム状のレンズがないのが特徴です。
この透明なドームは、LEDから出た光が内部反射でLED内部に戻ってしまうのを低減し、その分、外部に光を取り出す効率が高くなります。
しかしその代償として、LEDの光を前方に曲げる性質があります。その際に屈折による色分解で光の配分が変わる、つまり若干ですが色味が変わることがあります。
このモデルは、それを嫌ったことからくるLED選択かと思います。
その配光は非常に独特。「H2T 燈(ともしび)モジュール」に似ています。集光されていない、茫漠としたつかみどころのない配光。一体これは何に使うものか…?
なんて引っ張ってみましたが(笑)、このライト、宝石・鉱石の鑑定に特化した目的で作られたもの。GEM(宝石)というシリーズ名からも、NITECOREがかなり本気でこの分野を獲りに来ているのが伺えます。
細い先端は意図的に光を絞るため。こうして鉱物に当てた時、不要な反射光をカットします。
こうやって下から当ててみても綺麗。このようにして、内部の割れ構造や不純物、反射光などを見るそうです。
また、別の用途として、表面の傷を見る際にも使用されます。主に陶磁器などの骨董品で使われるテクニック。より細部を観察するには、十分な光の密度と均一な照射が必要です。リフレクターのない照射、また色分解の少ない光は、こうした用途のために用意されたものです。
そういったコンセプトに沿って、GEM8にテールスイッチはありません。
テールキャップは単純な電池交換のためのふた。
バッテリー対応電圧は広く、4.2V~8.4Vで稼働します。リチウムイオンバッテリー1本、CR123A電池2本、リチウムイオンバッテリー2本に対応できます。
点灯、調光は全てダイヤルで行います。調光はシームレスで、目視で見ても段階を感じず、回転量に応じて光が増減します。ダイヤルは固すぎず柔らかすぎず、スムーズに回転します。この用途に見合った操作性です。
宝飾関係を見込んでか、NITECOREとしては珍しく、シルバー仕上げ。こう見えてもHA3処理ですので、他のタクティカルライト同様の耐摩耗性・耐食性を備えています。落下耐久1m、防水IPX8(2mに沈水しても大丈夫)もこの用途としては破格でしょう。
ニッチな市場を狙ってきた、面白いタイトです。模型工作をはじめとした精細な趣味にも使えるのではと思います。(アカリセンター価格:6255円)
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(文・写真/アカリセンター・HATTA)
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