【マツダ ロードスター刷新】2リッターエンジンが激変!RFの走りがもっと楽しく、より爽快に

■新2リッターエンジンなら、ソフトトップ搭載もアリでは?

もうひとつ、現代のクルマとして欠かせない進化ポイントが、安全性能の進化だ。最大の注目は、ついに実現した自動ブレーキの採用。改良前、ロードスターはマツダ車の中で唯一(OEM供給を受ける軽自動車は除く)、自動ブレーキを搭載していなかった。でも今回の改良では、MT車も含め、ロードスターの全グレードに自動ブレーキが採用されたのである。

“アドバンスド・スマート・シティ・ブレーキ・サポート”と呼ばれるシングルカメラ式の自動ブレーキは、約4〜80km/hの範囲で車両を、約10〜80km/hの範囲で歩行者を検知、衝突が予測されると警告を発し、さらに衝突が避けられないと判断するとブレーキを作動させて被害を軽減、もしくは衝突を回避してくれる。同時に、リアバンパー内に搭載された超音波センサーで、後退時の自動ブレーキを実現している。またAT車では、アクセルとブレーキの踏み間違いや、シフトレバーの入れ間違いによる急加速を抑える誤発進抑制機能を採用。そのフロント用センサーを搭載するために、イメージを崩さないAT車専用のフロントグリルを新設計した点は、デザインを重視する近年のマツダ車ならではといえる。

熱狂的なロードスターファンの中には「そんな装備はいらない。それよりも軽くして欲しい」と眉をひそめる人もいるかもしれないが、現代のクルマにとって、事故を防止するための装備の充実は、欠かすことのできない要素だ。先進安全装備がないことで、オーナー予備軍のショッピングリストから漏れるケースさえ少なくない時代ゆえ、軽量化にこだわるロードスターといえども、安全性は決して無視できない時代なのだ。

しかし、これら多彩なメニューも、今回の改良ではさほど大きなニュースではないと思う。個人的には、ロードスター史上初めて採用された“テレスコピックステアリング”こそが、今回に改良における最大のトピックだと考えるからだ。

ついにロードスターにも、前後調整(調整量30mm)できるステアリングが組み込まれた。デビュー時は「重くなるから」と、開発陣が頑なに採用を否定していた装備だが「市場からの求める声が大きくて、今回はそれに応えた」とのこと。例えば、サーキット走行時にヘルメットを被る場合などは、頭上空間を確保するためにシートの背もたれを寝かせ気味にセットするが、そうしたシーンでもハンドル位置をドライバー側に寄せられるようにし、適切なドライビングポジションを採れるよう配慮したという。

そもそもロードスターの楽しさは、絶対的な速さでもなければ、極限域での優れた性能でもない。運転することの気持ち良さ、思いどおりに操れる人馬一体感こそが、このクルマの真髄である。その楽しみをより際立たせるためには、クルマとドライバーとを最大限にフィットさせることが不可欠。その点において“テレスコ”は、これまで設定がなかったことが不思議に感じられるくらい、重要な装備だと考える。

もちろん、テレスコ採用による重量増が気になる人もいるかもしれない。だが心配はご無用。「ステアリングコラム単体は700gアップしたが、他を軽量化して相殺した結果、車両トータルでは重くなっていない」というのだから。テレスコはもちろん、重量増が避けられない安全装備を充実させたにもかかわらず、改良前のモデルと車両重量は変わっていない…。こうした車重に対するこだわりは、エンジニアの高い志と執念の賜物としかいいようがない。見事だ。

このほかにも、新しい内装色“スポーツタン”を設定したり、ソフトトップモデルにブラウンの幌を採用した特別仕様車「キャラメルトップ」を用意したりと、前回の改良からわずか半年余りで、再び完成度を高めてきたロードスターシリーズ。当然、走りの爽快感も安全性も利便性も高まったわけだが、理想を追い求め続けるマツダのことだけに、進化はまだまだ止まらないだろう。

個人的には、格段に気持ち良くなった新2リッターエンジンを、ソフトトップ仕様にも積んで欲しいと感じた(北米向けには存在するが、日本市場向けは「予定なし」とのこと)。デビュー時は「軽快感では圧倒的に1.5リッターエンジンが勝るので、ソフトトップ仕様はこちらのエンジンの方が気持ち良く走れると考えている」として、日本向けには2リッターのソフトトップは用意されなかった。だが、大改良を受けた2リッターエンジンに乗った今となっては「このエンジンならばソフトトップ仕様への搭載もアリなのでは?」と思わずにはいられない。

<SPECIFICATIONS>
☆ロードスター RF VS(MT)
ボディサイズ:L3915×W1735×H1245mm
車両重量:1100kg
駆動方式:FR
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6速MT
最高出力:184馬力/7000回転
最大トルク:20.9kg-m/4000回転
価格:365万400円

<SPECIFICATIONS>
☆ロードスター RF VS(AT)
ボディサイズ:L3915×W1735×H1245mm
車両重量:1130kg
駆動方式:FR
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6速AT
最高出力:184馬力/7000回転
最大トルク:20.9kg-m/4000回転
価格:367万7400円

<SPECIFICATIONS>
☆ロードスター キャラメルトップ(MT)
ボディサイズ:L3915×W1735×H1235mm
車両重量:1020kg
駆動方式:FR
エンジン:1496cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6速MT
最高出力:132馬力/7000回転
最大トルク:15.5kg-m/4500回転
価格:309万4200円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)


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