■シースルーバックは断然“手巻き”!
ご存じかとは思いますが、“クロノグラフ” を簡単に説明すると、ストップウォッチ機能を備えたモノです。内側のムーブメントは通常の三針タイプより複雑。そのメカメカしいムーブメントの姿を裏側からジックリと見るには“手巻き”タイプに限ります。なぜなら自動巻きは、ローターが窓の半分を占めてしまうので、ムーブメントがよく見えないのです。
つまり、複雑に噛み合った歯車やレバーがビッシリ詰まったメカをジックリ鑑賞できる…、イイ歳したオッサンの男心の琴線に触れる腕時計、それが“シースルーバックの手巻きクロノグラフ”なのです。
前置きが長くなりましたが、今回私が「ヤフオク!」で落札したのは、そんな手巻きのメカニカルクロノグラフです。
なんと3000円で出品されていて、入札者はゼロの状態。設定価格からして、パッと見ではクオーツのクロノグラフかと思っていたのですが、出品画像を数枚めくっていくと、なんとケース裏側がシースルーバック! ソコから機械式のムーブメントがチラリと見える画像が…! 商品名も説明文も一言二言しか書いていないアッサリしたもので、“手巻きクロノグラフ”の文字も説明らしい説明も特に無し。
ええーっ、機械式のクロノグラフですよ!? そんなにアッサリでイイのですか…。競り合えば1〜2万円くらいには普通に上がっていくはず。とりあえず入札してみたのですが、なんとラッキーなコトにそのまま落札できてしまいました。ラスト5分間は他の人から入札が来ないか結構ドキドキでしたけどね。ヤッホーーイ!!
しかし喜ぶのはまだ早い…。画像を見た限りでは一見キレイでしたが、現物の状態をチェックしなければまだ安心はできません。届くまでドキドキ、ワクワクしながら待ちます。
数日後、ついに到着! そして気になる状態はご覧のとおり美品でした。もう言うこと無しです、ハイ。
コチラの手巻きクロノグラフは「Flying Tigers(フライングタイガース)」というブランドで、10年以上昔から「チープ」なメカニカル腕時計に興味があった方々には懐かしい名前ではないでしょうか。「ビーバレル」とか「コグ」とか、安くてアヤしくも魅力的なチプメカブランド、ありましたよねえ…(遠い目)。
9時付近のインダイヤルが通常の秒針、3時付近はストップウォッチ機能時の分針。文字盤の色はグレーですが、シェル(貝殻)文字盤のようで、見る角度や光の当たり方によって独特の雰囲気を醸し出しています。
インデックスのローマ数字やブランドロゴは金属製で、薄いながらも立体的に処理されていて、フェイス部分は上品な作り。ブレスレットも無垢でできていて三連タイプの真ん中が鏡面仕上げ。全体的になかなかの高級感です。
しかし、ケースとブレスをつなぐフラッシュフィット部分は無垢ではなく、巻き板製ですし、風防の素材も先日の記事(>> 海外通販サイトにおける自称「サファイアクリスタル風防」の真実と嘘)で使用した測定器で調べたら、サファイアクリスタルではなく、ミネラルガラス製でした。
ですが、なんと言ってもこの腕時計の最大の魅せ所は、このシースルーバックから覗けるムーブメント。大小さまざまなパーツがビッシリと並び、青いネジに赤い軸受け石、そして金色の歯車と、とてもカラフルでなんとも美しい。ついつい用事もないのに文字盤見ないで裏側を見ながら、クロノグラフを作動させて遊んでしまいます。
今回のような、“思いもよらぬ低額で落札できた!”という展開はネットオークションにおいて最も心躍る出来事のひとつですよね。
しかし、検索すればすぐに取引履歴や商品情報を調べることが可能です。出品者だけならいざ知らず、落札の競合相手が相場も知らない、なんて状況はそうそうないのが世の常です。
とにかく早い者勝ちのフリマアプリ系でも、履歴を見てみると相場より少し外れた価格で取引が成立していたりするのがチラホラあります。私はどうにも性に合わないのかただ単に新しいカタチに対応できないのか、あまり利用していませんが…。
マイナーなブランドの腕時計とはいえ、今回はとてもラッキーでした。出品者の前オーナーさんに感謝しつつ、この腕時計、大事に使っていきたいと思います。
>> 連載[安価機械式「チプメカ」マニアの1万円以下腕時計購入記]
[関連記事]
【今日から始める「メルカリ」講座①】「ヤフオク!」「ラクマ」との違いは?
OCEANUS × BRIEFINGのコラボ時計で旅に出かけよう
(文・写真/伏せ字)
腕時計好きの趣味が高じて、記事を執筆することに。一介の時計好きサラリーマン。好きな時計の傾向は、ダイバーズ、青焼き針、56系LM。
- 1
- 2