【ボルボV60クロスカントリー試乗】悪路も長距離も楽勝!気分は「飛んでイスタンブール」

長い話なので割愛しますが、過去、スウェーデン人に借りのあるボクは、公明正大なメディアにあってさえ、スウェーデンブランドであるボルボ寄りの発言を遠慮しません。有り体にいえば、依怙贔屓(えこひいき)です。

しかし、最新のボルボは、そんな依怙贔屓など不要です。「V40 T3」「V60 D4」…。最近乗せてもらったモデルはいずれも、どうしちゃったの? っていうくらい出来がいいんです。V40 T3はバランスが良く、スポーツセダンのようなフットワークの良さが忘れられませんし、V60 D4は鹿児島から東京まで1000km以上走ったにもかかわらず、腰が痛くなる気配もなく、そのウルトラ・ロングツアラーぶりに驚かされました。

そしてV60クロスカントリーです。搭載エンジンは2種類。そのうちのひとつが今回ドライブした“D4”で、直列4気筒の2リッターディーゼルターボです。いろんな意味で、クリーンなエンジンです。

最新のボルボが「良くなった!」と感じる理由のひとつは、同社が“闘い方”を変えてきた、もしくは“立ち位置”を変えてきたからだと思っています。ボルボの年間生産台数は約46万台。そうすると、車格に合わせてエンジンを作り分けていたのでは、効率が悪い。ならば、と、潔くラインナップを整理し、厳選したエンジンにリソース(開発スタッフや開発コスト)を集約させたわけです。

ガソリンもディーゼルも、ターボチャージャーのセッティング次第でパワーや回転フィーリングなどを変えてくる、欧州車の最新トレンドをガッツリと取り込みました。するとどうでしょう。新しいガソリンエンジンのT3や、ディーゼルエンジンのD4は、まぶしいくらいイイんです。

何がいいのかというと、トルクの立ち上がりがスムーズで、しかも高回転域での頭打ち感にガッカリさせられることもありません。V60クロスカントリーに乗り、あらためて実感したのですが、ディーゼル+ターボですら、アクセルペダルの角度に加速力が素直に反応してくれるのです。

今回、V60クロスカントリーをドライブしたのは箱根。天下の峠道をグイグイ上がっていかなければならない、ボディが重くなりがちなSUVには荷が重い、ちょっと過酷なステージです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAそんなステージでも、V60クロスカントリーは余裕しゃくしゃく。切れ目のない加速。8速ATのマナーも実にいいですね。オトナ2名でのドライブなんて余裕過ぎます。もちろん、5名フル乗車でキャンプ道具を満載にして、なんてシチュエーションでは印象が変わったかもしれませんが、まぁそんな状況では、ゆっくりジェントルに走りましょ。ドライビングを楽しみたい時は、ひとりで箱根、がサイコーのクルマだと思います。

ハンドリングは期待以上。というのも、そもそもV60クロスカントリーは、ロードクリアランスが大きいのです。

200mm!

少し車高を上げてみました、的ななんちゃってクロスオーバーモデルとは違い、そのディメンションはオフロード4WD級。これでハンドリングをカッチリさせようと思うと、かなり踏ん張らせたサスの設定になりがちなのですが、V60クロスカントリー D4のそれは、思いのほか、いなし系。コーナーのギャップでフワンフアンと上下してドライバーを不安にさせることもありません。この足の味付けに、ファンが増加すると予想。ボルボは硬い脚より、いなし系の足をつくらせたが、巧いと思います。

そして、SUVとしてのポテンシャルについていえば、車高の低い4WDより、車高の高いFFの方が、実は実用性は高いんです。仮にオートキャンプ場でテントサイトへ行くとすると、途中に段差(川があるところもあります)があっても、ロードクリアランスが大きい方が走行ラインに選択肢が広がります。選択肢が大きければ、FFでもスタックしないラインが割と簡単に見えるものなんです。もしくは、見えていなくてもスルッとクリアできるもの、なのです。同乗者からは確実に「カッコイイ♡」な視線が届きます。

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何がいいたいのかというと、ロードクリアランスが大きなFFは、SUV的な使い勝手がなかなか良好、ということ。ちなみに、V60クロスカントリーでガソリンの5気筒エンジンターボを積むT5を選ぶと、駆動方式はAWD=4WDになります。ちなみにボクなら、D4のFFを選びます。D4好きだし、ミッションも8速だし(T5は6速AT)。

おまけに今、一部のガソリンスタンドの中には、軽油価格がリッター当たりアンダー90円、なんてお店も。マジか!?

そもそもD4は、JC08モードで19.5km/Lと燃費がいいのに、燃料代も安上がりとなれば、遠出好き(=現実逃避好き!?)のボクにはたまんないですね。何せ、長距離を走っても疲れないシートは、V60譲り。さらにV60クロスカントリーはドライバーのアイポイントが高いので、ロングドライブはさらにラク…。

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全世界の平和が叶ったら、東京から下関まで走り、そこからフェリーで韓国にわたって北朝鮮、中国、ウルムチを抜けて(途中省略)、トルコのイスタンブールの高台から地中海を見下ろしたい。ちょっと足を伸ばせば北欧! 「もうひとっ走り!」とその気にさせるのが、V60クロスカントリーなのです。

<SPECIFICATIONS>
V60クロスカントリー D4 SE
ボディサイズ:L4640×W1865×H1540mm
車重:1730kg
駆動方式:FF
エンジン:1968cc 直列4気筒 ディーゼルターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:190馬力/4250回転
最大トルク:40.8kg-m/1750〜2500回転
価格:494万円

(文・写真/ブンタ)

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