古き良き時代の国産名メカニカル「ロードマチック」をひたすら磨いてみた

実際に手にとって現物を見たら、なかなかエグいぐらいのキズだらけ。ガラス風防もキズだらけですが、特に本体ケースのリューズ側のサイドが酷い…。何故にこんなヒドい状態に…。

転んでぶつけたという類いのキズではなく、明らかに荒目のヤスリ等で削られた跡。「少しキズを付けてしまったので、キズを消そうと試しに削ってみたけど巧く消せず、そのまま放置した」とかでしょうか。コレだけの荒れた状態はそうそうお目にかかれないので、いろいろと想像が止まりません(笑)。

果たして、何処までキレイにできるか…。なんだか燃えてきましたよ!

中身のムーブメントは先述のとおり、不動状態で少しリューズを巻いてみても、わずかに秒針が動くのみ。

…なのですが、裏蓋を開けてムーブメントを見ると結構キレイ。特に故障はないようで、汚れを落として組み立てれば普通に動いてくれるでしょう。この機種で故障が頻発する日付&曜日の早送りはパチパチッと動作を確認できて無事でした。ホッとひと安心。

いやぁ、それにしても…。落札した時に付属していた薄手の社外品メタルバンドを取り外したら、バンド接合部辺りの汚れが結構スゴイんですよ。

オールド腕時計を落札していると、こういった世間の(物理的に)汚い暗部をよく目にします(笑)。

というワケでココからは毎度のごとく、バラバラに分解…。超音波洗浄にかけてから乾燥、そして注油&組み立て、という流れ。

コチラのロードマチックに使われている56系ムーブメントは10機以上は分解していて「もう目つぶってたって組み立ててやらぁあ!」なんて思ってしまい、いつもは必ず行う分解時の撮影を怠ったのですが、油断大敵。やっぱり逐一、撮影した画像を見て手順やパーツの配置や向きなどを確認していかないとダメですね…。

途中でギアの噛み合わせをミスってネジ締めをやり直したり、パーツを床に飛ばしたり、もうハプニング続出。床に落ちるとなかなか見つからなくて、今回も床に這いつくばること数十分…。まあ凹む凹む…。素人が図に乗るとロクなことになりません。

そんなこんなの七転び八起きがありまして、やっとムーブメントの組み立てが終わりました。12時キッカリで日付が変わるように針を入れていくんですが、コレもなかなかどうして難しいんですよねえ。

動作チェックして精度も日差で約+15秒くらい出てくれたので、中身の方はコレにて無事完了!

さて、それでは今回一番の難関である、外側(ガワ)の研磨に取りかかりましょう!
腕時計マニアからは、よく「ヘタにケースを研磨したらエッジがダルくなって魅力がなくなる!」みたいな意見もありますが、もうこれだけケースに深いキズが入っていたら、逆に怖いモノは無いのでガンガン磨くことにしました。

 

【次ページ】ひたすら磨いて磨いて磨く…

この記事のタイトルとURLをコピーする