まずはポロGTI。小気味いい！ コンパクトなボディにパワーのあるエンジン。これをMTでギヤを選びながら走る楽しさ、クーッ、たまりません！ 低速からトルクがあるので、ギヤの選択を多少ミスってもなんてことナシ。ストイックさは希薄、イージードライブです。
乗り味にも包容力があります。パワーのあるエンジンを積んだコンパクトカーにありがちな「肩ひじ張りすぎ！」といった部分が超薄め。GTI専用スポーツサスペンションのセッティングはガチガチではなく、乗り心地もイージーです。
そもそもポロのボディサイズは、全長3995×全幅1685×全高1445mmで、いってみればコレは、かつてのゴルフサイズですよね。3世代目ゴルフの全長4020×全幅1695×全高1420mmとほとんど同じです。たいていのモデルは、モデルチェンジを重ねるごとに大型化されていくものです。
庶民派のゴルフも例外ではありません。ゴルフの大型化でポッカリ空いたポジションを埋めるのがポロ。なので、小さなボディにハイパワーなエンジン（1.8リッターターボは192馬力）を積んだミスマッチ狙いというより、むしろバランスが整っている、というのが第一印象。
ただし、このボディサイズだと、アクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダルがキレイに並んではくれません。仕方ないんです。右前輪のタイヤハウスが干渉するので、全体にやや左寄り（車体中央寄り）になっています。左ハンドルだともう少し違和感がないと思いますが、日本に上陸するのは右ハンドルのみ。ま、乗っていて慣れるレベルではありますので、全くもってOKです！
お次はゴルフR。ポロよりボディサイズが大きいこともあって、ペダルのレイアウトは自然。全く違和感ありません。何より、このシフトレバーがいいですね。ゴルフボールをアレンジしたかのようなシフトノブは、押しても引いても手に馴染む形状。巧い造形です。
ちょっと苦労させられたのは、シートポジション＝ドラポジの調整。最初、どうやってもシックリこなかったのですが、あれこれ試しているうちに解決しました。Rと聞いて身構え、シートの座面を一番低いところまで下げたのですが、これを基準にすると、ペダルは近いのにステアリングが遠い感じ（個人差あります）。そこで、思い切ってシートを上げ、ややアップライトな姿勢にしたところドンピシャ。気持ち良くドライビングできるようになりました。3ペダルを扱うMTは、ドラポジにゴマカシがききにくいのです。
ゴルフRのエンジンは、基本的にゴルフGTIと同じ2リッターの直4ターボですが、より高回転型。高速域でパワーの出るセッティングです。ですので、一度スピードに乗ってしまうと、水を得た魚のよう。四肢がよく踏ん張るサスペンションセッティングもあって、パワーとシャシーがバランスしている印象です。
ただし、街の中心部など、低速域を割と頻繁に使うシチュエーションでは、車重がちと重いな、と思わされることもありました。この部分に関していえば、DSGにアドバンテージがあります。MTと同じ6速のギヤながら、DSGは小気味よくシフトアップ＆ダウンしてくれるので、車重も気になりません。実際、より車重のある「ゴルフRヴァリアント」のDSGは、低速でもパワー感モリモリでしたから。
私がMT＝マニュアルトランスミッションを好きな理由は、よりクルマを自分のコントロール下に置いている気になれるから。クルマに乗らされているという感覚が少ないのです。その点、今回ドライブしたポロGTIとゴルフRは、もっともっと積極的にコントロールしてみたいと思わせてくれました。やっぱり、MTのドライブは楽しい！
＜SPECIFICATIONS＞
☆ポロGTI
ボディサイズ：L3995×W1685×H1445mm
車重：1240kg
駆動方式：FF
エンジン：1798cc 直列4気筒ターボ
トランスミッション：6速MT
最高出力：192馬力／4300〜6200回転
最大トルク：32.6kg-m／1450〜4200回転
価格：327万5000円
＜SPECIFICATIONS＞
☆ゴルフR
ボディサイズ：L4275×W1800×H1465mm
車重：1500kg
駆動方式：4WD
エンジン：1984cc 直列4気筒ターボ
トランスミッション：6速MT
最高出力：280馬力／5100〜6500回転
最大トルク：38.7kg-m／1500〜4200回転
価格：539万円
（文＆写真／ブンタ）
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