理想の財布のサンプルが完成! ―「小さい財布」製作日記②

■これが“モノづくり”の醍醐味か!

アタマのなかで想像していたものがカタチになる。さんざん、さまざまなモノを紹介してきたのに、考えてみればここまでイチから関わってるモノって実は初めてかも…。

そんな感慨にふけながらファスナーを開けてみた。おぉファスナーの滑り、すごくイイ! おそらく1日に1回は開け閉めするであろう財布だからこそ、開閉のスムーズさは重要だ。引っ掛かるなんて言語道断。いいじゃないですか! と思ったのも束の間…。

あれっ? なんだこれ? 実は今回の財布、L字になったファスナーを開けると、中央に小銭を入れられるポケットが現れる、はずなのだが…。たしかにそれらしき部分はあるが、なぜか根元近くで縫い合わされている。いやたしかに小銭は入れられるけど、取り出すの大変そうなんですが…。

 

■素材は男子の大好物“ミルスペック”で!

モノグッズ甲斐さんに、荷物が届いたことを電話。そのついでに伝えみてた。あのーこれ、小銭取り出しづらいかなーと…。

「こちら側から出した仕様にはなかったんですが、マチ有りのコインウォレットの場合、折りたたまれる部分の隅っこに小銭が挟まってしまう可能性もあるので『何か挟まらないような提案があれば盛り込んでもらえないか』とデザイナーには伝えてたんですよ。で、出てきたモノがこれなんです」

デザイナーさんによると、“完全に挟まらないようにするなら、縫い合わせてシンプルなポケット状にし、小銭を取り出す時は財布を傾ければいいんじゃないか” ということらしい。たしかにそれもアリではある、が…。

▲デザインスケッチ

「まぁ、一長一短あると思いますが、私としても元々考えていたマチ有りのものの方が良いのかなぁと思ってます。とはいえ、まずは見た目や素材感、ファスナーの具合などを確認してもらおうと思って、ひとまずお送りした次第なんです。デザイナーにはすぐに、仕様通りのモノを作ってほしいと伝えて、再度サンプルを作成してもらっているところなのでご心配なく。実物を手にしてもらいつつご説明する際に話そうと思っていたんです」

そうだったのか~、納得。ところでこれ、素材いいですね。やっぱりこれで正解だったかも。

▲甲斐さんが普段使っているモノグッズのブリーフケース。実は最初に見かけたときから気になっていた

実は素材は、最初から頑丈なモノを想定していた。思い立った段階ではあまり明確なイメージはなく、普通に考えたら革かなぁ、なんて思っていたのだが、打ち合わせ時に甲斐さんが持っていたバッグで考えが変わったのだ。甲斐さんのバッグはモノグッズのブリーフケース(>> 軍事用でも使われる素材だから丈夫さはピカイチ!)。触らせてもらって、やっぱりバリスティックっていいな!と思ったのだ。

男子の大好物“ミルスペック”なだけあり、とにかく頑丈。ケツポケに入れるということを考えると、頑丈に越したことはない。それを伝えると、

「現在市場でよく使われているコーデュラナイロンは、大まかに2種類あるんですよ」

と素材を見せてくれた。

▲左が1680Dで右が500D

より頑丈なのが“1680D”で、それより薄くて軽いのが“500D”。パッと見でも違いが分かる。少しだけ悩んだのだが、見た目から分かる素材感と存在感、そしてとにかく頑丈だと分かる点から、選んだのが“1680D”だった。

あとね甲斐さん、実はちょっと違和感がありまして…

【次ページ】違和感の正体

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