【マツダ ロードスター試乗】走りは格段に楽しく、ルックスは一段と華やかに:河口まなぶの眼

■ついにロードスターが気持ちいいエンジンを手に入れた

今回の商品改良で最大のトピックとなるのが、電動リトラクタブルハードトップ仕様の「ロードスターRF」に搭載された、2リッターエンジンの性能向上だろう。最高出力がこれまで158馬力だったものが、184馬力へとパワーアップしたが、それよりも大きいのは、最高回転数が6800回転から7500回転へと引き上げられたこと。これによってロードスターRFは、よりスポーツカーらしい高回転型エンジンを手に入れたといえるが、実際に乗ってみて印象的だったのは、むしろ、普段乗りで多用する常用域でのフィーリングが、大幅にリファインされたことだ。

ピストンを1個当たり27g、コンロッドは1本当たり41g軽量化。さらに、バランスを見直したクランクシャフトを採用するなど、細かな変更を計23箇所に渡って行うことで、従来と比べて700回転も上まで回るようになった。結果、アクセルペダルを踏んでいった際、当然のごとくエンジンの回転は以前よりはるかに軽く、滑らかに上昇するようになり、その過程もとても“美味しく”感じられるようになった。

アクセルを踏み込むだけで、タコメーターの針は軽やかに上昇し、同時に、気持ち良い加速が始まる。それは何も、アクセル全開の領域に限った話ではなく、街中を走っている時などに、ふと軽くアクセルを踏み込んだレベルでも、存分に気持ち良さを感じられるのだ。

もちろん、高速道路での本線への合流時や料金所からの加速時など、1速や2速のギヤでアクセルを全開にできるシーンにおいて、エンジンが7500回転までキッチリきれいに回っていく様は、とても爽快だ。また、かなりこだわった細かな変更を排気系統に施した結果、サウンドそのものもとても心地いい響きを伴うものになった。

本音をいうと、これまでのロードスターシリーズには、気持ちいいと評価できるエンジンが搭載されたことはなかったが、今回、ついに気持ちいいと表現できるエンジンが搭載された。となると、この気持ちいい2リッターエンジンが、ロードスターRFだけでなく、1.5リッターエンジンのみのラインナップとなっているソフトトップ仕様のロードスターにも搭載されたらいいのに、と思ったりする。

もっとも、ソフトトップ仕様に搭載される1.5リッターエンジンも、今回、変更を受けている。数値的には、最高出力が1馬力、最大トルクが0.2kgf-mアップと微々たるものだが、レスポンスが向上したほか、サウンドも2リッターエンジンのそれと同様、気持ちいいものへと進化しており、従来以上に回す楽しさを味わえるものとなっている。

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