今回ご紹介する腕時計。毎度のごとく「ヤフオク!」で、落札して入手しました。落札額は6256円(送料込)也。
コチラは、今はなき「日本国有鉄道(=国鉄)」の職員に支給されていたシチズンの「ホーマー」で、よく“国鉄モデル”や“ 国鉄ホーマー”などと呼ばれたりしているモノです。市販こそされませんでしたが、JRからの放出品や、その中古品などが市場で豊富に出回り、オールド腕時計や鉄道に詳しい方々にはおなじみのシロモノになります。
“ダイバーズ”や“パイロット”などと比べると小規模ではありますが、“鉄道時計”というカテゴリーもありまして、スイスのMONDAINE(モンディーン)やアメリカのBALL Watch(ボール・ウォッチ)などが有名です。我が日本の鉄道時計はといえば、セイコーの懐中時計とコチラのシチズン・ホーマーが双璧といえるでしょう。
国鉄ホーマーは、市販品の通常ホーマーとは少し異なる仕様になっていて、時刻調整時にも秒針が止まらない市販品ホーマーに対して、国鉄ホーマーは秒針規制機能が付いています。リューズを引いて時刻調整をする際には、秒針が止まるようになっているんです。秒単位で正確な時刻を求める鉄道員には、きっと重宝された機能だったのでしょう。
ベゼルの幅が細く、その分、文字盤は大きめ。パッと見でもすぐに時刻を把握できるよう、1~12時のインデックスはすべて黒数字と、視認性最優先のデザインになっています。駅の時計と同じコンセプトですね。ケース幅は36ミリでリューズを含めると38ミリ。ベゼルの細さ故か、数値よりは大きめな印象を受けます。
ゼンマイは手巻きのみで、自動巻き機能も無ければ日付曜日カレンダーも無し。正確な時を見やすく伝えることのみに特化したミニマルなデザイン。“引き算の美学”とでも言いますか、“わび・さび”にも通ずるようなシンプルさがこの腕時計の魅力です。
そしてさらに、前述のような腕時計としての萌え要素に加えて、裏蓋には製造年、管理局の刻印が入っていて、鉄道ファンからすると、コチラの刻印の方が萌えるポイントのようです。
「昭○○」という製造年の他にも「東鉄」と各管理局名と通し番号が刻印されていて、いかにも“官給品”っぽい雰囲気なのがイイですね。
私は未だに入手できていないのですが…、裏蓋に自分の誕生年の刻まれた国鉄ホーマー、欲しくないですか…? 自己満足、そうただの自己満足なだけなんですが…。
「自分と同じ年齢の腕時計を愛用したい」というのは、腕時計好きなら“あるある”な願望だと思うのですが、その場合は、シリアルナンバーで照合して製造年を特定、なんていうのよりは、この腕時計の「昭43」みたいにわかりやすい刻印の方がイイかな。
はぁ…「昭53」の刻印が入ったヤツ、格安で落札できないかなぁ…。