■予選最速のGT-Rが失速! レースは何が起きるか分からない
さて、いよいよ決勝レースのスタートです。予選は、4台のGT-Rがすべて5番手以内に入るなど、日産勢の強さが印象的で「どう転んでも、レースでは日産系チームのいずれかが優勝するのでは?」と思っていました。
そんな中、日産系チームの総監督であるNISMOの田中利和さんは、戦前「日産GT-Rの23号車がポールポジションを獲得しましたが、本番は難しいレースになるでしょう。富士スピードウェイのスーパーGTにおいて、800kmの長丁場で争われるレースは今回が初めて。データがないのです。GT300クラスのマシンも混走しますし、雨が降るなど天候との戦いもあります。最後までどこが勝つかわかりませんね」とおっしゃっていました。
ふたを開けてみると、田中さんの戦前の予想どおり、レースは甘くありませんでした。ポールポジションからのスタートで、序盤、トップを快走していた23号車「モチュール オーテックGT-R」の松田次生/ロビー・クインタレッリ組は、マシンとミシュランタイヤのマッチングが悪く、徐々に後退。
その後、ブリヂストンタイヤを履く12号車「カルソニック インパルGT-R」の佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組がトップに浮上し、そのままチェッカーフラッグを受けるか? と思っていたところで、まさかのスローダウン!
最終的には、予選3番手からスタートした36号車「auトムスLC500」をドライブする中嶋一貴/関口雄飛組が、未知の長距離レースを見事に制したのでした。本当に、レースは最後まで何が起きるか分かりません。途中まで日産GT-R勢がリードしていただけに、日産ファンにとっては悔しく、レクサスファンにとってはうれしい結果となりました。
それにしても、サーキットに詰めかけた皆さんは、本当にレースの楽しみ方が上手。バトルシーンを自慢のカメラで撮影したり、テントを張って食事と飲み物を片手にのんびり観戦したり、はたまた、コースサイドでバーベキューを味わったりと、皆さん思い思いにレースを楽しんでいました。
その光景はまさに、野外フェスのワンシーンのよう。マシンというアーティストたちが繰り広げるレース=パフォーマンスを楽しめるモータースポーツは、クルマ好きにとっての野外フェスなのかもしれません。モータースポーツを観戦したことがないという人や、サーキットに行ったことがないという人は、一度“フェス感覚”の軽いノリで足を運んでみることをお勧めします。
■高速道路の大渋滞も先進安全装備で苦にならず!
さて、激戦を心ゆくまで堪能し、私も帰路に就きました。富士スピードウェイでのレース後は、必ずといっていいほど、東名高速道路の激しい渋滞に巻き込まれます。時間帯によっては、往路も渋滞しますが、帰路の上り線はほぼ100%、渋滞を覚悟しなければなりません。これが結構苦痛なのです。でも今回は、先進安全装備“プロパイロット”を搭載する日産「セレナe-power」で往復したこともあり、大渋滞もさほど苦になりませんでした。
プロパイロットでうれしいのは、設定が簡単なこと。ハンドルに付いているスイッチを押してスタンバイ状態にし、“SET”スイッチを押した後、スピード、そして前走車との車間距離を設定するだけなのです。クルマが左右の車線を認識し、緑色のハンドルマークと緑色の車線がメーターに表示されたら、運転支援モードに。あとは設定したスピードで走行し、前方の車間距離が短くなれば自動でブレーキなどを調整、前走車に合わせて走ってくれます。
しかも、車線からはみ出そうとすると、ハンドルを操作してきちんと車線内に導いてくれるので、追突防止だけでなく、車線のはみ出し防止にも役立ちます。衝突のリスクを減らしてくれる上に、安全もキープしてくれるので、長丁場のレース観戦後でも、運転時の疲労を軽減してくれます。
最近は、プロパイロットのような運転支援装置を搭載するクルマが増えているので、レース観戦後の渋滞はもちろん、自宅と行楽地とを結ぶルート上の渋滞などでも、ドライバーの負担をかなり軽減してくれます。でも、だからといって、ハンドルから手を離したり、わき見運転したりするのは厳禁。道路環境によっては、車線を認識してくれないこともあるので、油断は禁物です。レースもドライブも、最後まで何が起こるか分かりませんからね。
(文/吉田由美 写真/&GP編集部、NISMO、トヨタ自動車、アウディ ジャパン)
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