■「小さい財布」発見!
おぉ、これは! たしかに7月に手に取ったサンプルと同じ財布だ! ここでこうやって作られているのか。なんだか感慨深いぞ。
バラバラだったパーツが職人の手でひとつになっていく様子は、いつまでも見ていられる。流れるような動きは、まさに熟練のワザだ。工業製品とは違い、服飾小物などは機械化が難しい。多くの工程で、人の手が必要になる。だからこそ人手が必要で、そしてその人手の質がそのまま品質へと影響してくる。
そういった製品の生産地が、圧倒的な労働人口を持つ中国になるのは必然ではあるが、これぞまさに伝え聞いていた“工場の質”といったところだ。
正直、建物を見たときは「う~ん、大丈夫?」と思ったことも事実なのだが、清潔な工場内、手際よく作業をこなしていく従業員たち、そしてコバの処理といった仕上がったパーツから分かる作業の質の高さ。まさに世界中のプロダクトの製造を担う中国の底力といったところだろう。
やっぱりスゴいわ、中国!
■工場長が最終チェック!
見学したあとは、工場長の部屋に招かれ、中国茶でおもてなし。モノグッズ現地スタッフによると、どこに行っても中国茶を淹れるセットはあり、お茶を振る舞って客をもてなすらしい。
工場長がなにやら話しながら、袋を取り出す。
「かなり上等なプーアル茶らしいですよ」
湯を沸かし手際よくお茶を注いでくれる。さっそくひと口…、美味い! ちょっとでもなくなると、お茶を足してくれる工場長。
そうこうしているうちに、従業員が何やら持って部屋に入ってきて工場長に渡した。袋から出てきたのは、そう我々の財布だ!
するとおもむろに工場長が、ギューギュー押したり引っ張ったりし始めた。ちょちょ、ちょっと、なにしてるの?
そして、運んできた従業員になにやら指示を出す。
「最終の製品チェックだと思います。工場長が最後に品質管理をしているんです。ちょっとだけ修正させるみたいですね」
こんなこと、製造業関係の人なら当たり前の光景かもしれないが、恥ずかしながらここまでの細かい工程を見たことがなかった身としては「本当にちゃんとしてるんだなぁ」と思わず感心してしまった。最後は人の手と目でチェック。これ大事。
そして次に現れたのが、なんと財布を入れる袋!
「これに入った状態でお客さんのもとに届くんです」
なにこれ! 聞いてなかったんですけど! モノグッズと&GPのロゴが入った布の袋。黒い起毛の袋は、しっかりと財布を守ってくれそうで高級感もある。これいいじゃないですか!
これにて、メーカーサイドとしての最終チェックが完了。これより一気に生産に入るとのこと。「この工場でパッケージングまで行います。すべて作り終わったら、あとは日本に送られてきて、税関を通って、我々モノグッズのもとに届きます。もうちょっとですね」
モノグッズ現地スタッフのこの言葉に、わずか数カ月ではあるが、モノづくりに携わってきたんだなぁとの感慨が押し寄せてきた。うーん、これはたまらん。