ポチっと注文から12日後に到着(海外発送なので、このくらい日数がかかるのはいつもどおり。ちなみに、この商品の発送元はシンガポールから)。
商品はダンボールなど箱状ではなく紙封筒で届きました。中身はこんな感じのアッサリした梱包で、説明書などの付属品は一切無し。この梱包に限らず、さまざまなところでコスト削減を追求している様子が窺えます。
例えば文字盤上部に入っているブランド名のところですが…。
「AliExpress」上の商品説明画像では“OCHSTIN”という文字が入っていたのに、届いた現物は“OUBAOER”という文字。
「AliExpress」で扱っている腕時計は本当にこの辺りのコトが、よく言えば“おおらか”、ストレートに言えば“適当”という表現がピッタリ。
今までも、説明画像と実物で裏蓋やシースルーバックから見える中身のムーブメントの形状が異なっているなどの経験はありました。ですが、視覚的には一番目立つ箇所に入っている、文字盤のブランドロゴが異なっていたのは初めてです(笑)。
もうなんかブランド名さえもどうでもよくて、それらしく見栄えのする文字列をデザインとして入れ込んでいるだけなんでしょうか…。
コチラからすれば、このテのチプメカ腕時計のブランド名なんてどうでもイイ要素なので、“OCHSTIN”だろうが“OUBAOER”だろうがどっちでも構わないのですけどね…。
ただ、作る側からすれば、ブランドの名前とかはそれなりにこだわり持って決めた名前とちゃうのかと。それをこんな風に違うブランド名の品を送ってきていいのかと。そんなコトを問い詰めたい気持ちにはなりました。
文字盤は6、9、12が大きく入っていて現在の時刻を把握しやすいデザイン。白い部分は暗くなると光る蓄光塗料が塗られているかと思いきや…、ただ白いだけでした!
裏蓋はシースルーバック仕様になっていて、ムーブメントが覗けます。
青いネジを採用していますが、全体的な雰囲気はやはりドコかチープ。自動巻きのローターが回る音が“カラカラカラ〜”と結構大きめで、コレがさらにチープ感を増幅します。
本体ガワのケース表面も買ったばかりの新品なのにすでに線キズが入っていたり、表面の仕上げもツルツルのテカテカでエッジの立っていない、少し触れてみただけでチープさが伝わってきます。
裏蓋側、シースルーとなっているガラスは内側に小さいながらも目視できるキズがありましたし、検品で不良品をはじく、という工程が存在しているかも、もはや怪しい…。
とまあ、いろいろとネガティブな面ばかりを列挙してしまいましたが、3000円以下のお値段なので、「こんなモンかぁ」というのが正直な感想。というかこの価格で新品のメカニカルを販売して商売になるのが、そもそも驚きです。
もちろん、ちゃんと腕時計として機能しますし、精度は日差でおよそ-10〜20秒くらい(平置き計測)で、メカニカルの腕時計としては全く問題のない性能。
メインで使用している腕時計とは別に、オモチャ感覚というか、休日の私服時などにゆるく楽しむには、こんな感じのミリタリーテイストでカジュアルな腕時計がちょうどイイのではないでしょうか。
………なんてコトを考えながら3日間ほどこのチプメカを着けていたらある時、手が滑ってポロッとこの腕時計を20〜30センチほど落下させてしまったんですよ。そうしたら……。
なんと傾けるだけで分針がプラプラと動いてしまう状態に…!
バラして中身を取り出したのですが、分針の先端が文字盤に付いてしまっているのがわかりますか? 衝撃を受けて根元のハカマ部分が外れてしまったんですね。
仕方がないので、分針を再び取り付けようと頑張ったのですが、何度やってもまたすぐ外れてしまう…。安物ゆえかパーツの精度そのものがよくないのかもしれません。
もう台無しですよ、台無し。せっかく「休日の時などに、ゆるく楽しむにはこんな感じの腕時計がちょうどイイのでは…」なんてオススメの文章を書いて締めようとしていたのに、このザマ。
「AliExpress」内では、2000〜3000円くらいの価格で売られている腕時計がまだまだたくさんあります。が、上記のようなトラブルも自分の手で修理などを施せて楽しめるような奇特な方以外は安易に手を出してはいけないのかもしれません。
以上、今回は絵に描いたような“安物買いの銭失い”の一例となってしまった、悲惨な体験レポでした。
>> 連載[安価機械式「チプメカ」マニアの1万円以下腕時計購入記]
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(文・写真/伏せ字)
腕時計好きの趣味が高じて、記事を執筆することに。一介の時計好きサラリーマン。好きな時計の傾向は、ダイバーズ、青焼き針、56系LM。
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