【XC40試乗】ボルボらしい穏やかな走り!布シート標準のモメンタムがおしゃれ

■従来のボルボ車を想起させる優しい乗り味

いうまでもなく、XC40はボルボ初のコンパクトSUVにして“CMA”と呼ばれる最新プラットフォームを用いた新世代モデル。ボディサイズは、全長4425mm、全幅1875mm、全高1660mmという手頃な大きさです。

「ボルボのSUVはカッコいいけれど、ちょっと大きさがねぇ…」と二の足を踏んでいた人たちが「待ってました!」とばかりに飛びついたのか、世界的に大人気=品不足が伝えられます。ここ東洋の島国においても、今年2018年の春に300台限定で導入された「T5 AWD Rデザイン 1stエディション」は、「アッ!」という間に売り切れ。北欧コンパクトSUVに対する潜在需要の大きさを印象づけました。

そんな高い人気を誇るボルボXC40ですが、ようやくカタログモデルのラインナップがそろうようになりました。モデル構成を簡単に紹介しましょう。エンジンは、2リッター直4ターボのみ。ただし、チューンの度合いによって2グレードに分けられます。最高出力252馬力の「T5」と、同190馬力の「T4」です。

内外装のバリエーションは3種類で、スポーティな「Rデザイン」(T5 AWD/T4 AWD=539万円/489万円)、豪華な「インスクリプション」(T5 AWD/T4 AWD=549万円/499万円)、中堅どころのモメンタム(T4 AWD/T4 FF=459万円/439万円)、そしてベースグレード(FF=389万円)です。

XC40は、いわゆる“都市型SUV”のスタイルを採りながら、AWD(4輪駆動)モデルを基本とするのが北欧メーカーらしい点。一方、FF(前輪駆動)モデルも、上記のとおり、ベースモデルのXC40とXC40モメンタムに用意されます。トランスミッションは、いずれも8速ATです。

■おしゃれ上級者にオススメのT4 AWD モメンタム

まずは「T4 AWD モメンタム」に試乗したのですが、これがヨカッタ! 以前乗ったT5 AWD Rデザイン 1stエディションは、スポーティに硬められた足まわりにオプションの20インチホイールを履いていました。新しいコンパクトSUVの「キャラを立てる」という意味では成功していましたが、従来のボルボ車のイメージからすると、スポーツ寄りのドライブフィールに「ちょっと頑張り過ぎちゃったかなぁ」という感がなきにしもあらず。そんな感想を抱いた自分に、特にT4 AWD モメンタムは“ドンズバ!”な好印象でした。

試乗車のボディカラーは“オスミウムグレーメタリック”に、オプションのホワイトカラールーフ(6万6000円)を組み合わせたもの。屋根の色が変わるだけで、全体のイメージがガラリと変化する! これは楽しいオプションです。

さらに感心したのが内装で、チャコール(黒)/ブロンド(アイボリー)インテリアに、やはりブロンドのテキスタイル・コンビネーションシートを置いて、外装のイメージを(天地反転して)車内にも反映しています。レザーとファブリックのコンビシートは、いかにもおしゃれ上級者向け。こうした仕様を標準装備するあたり、モメンタム、ただ者ではありません!?

ドライブフィールも穏やかで、「やはりボルボはこうでなくちゃ」と、個人的には思いました。フロントがマクファーションストラット、リアがマルチリンク式のサスペンションは、標準仕様のセッティング。試乗車のタイヤ&ホイールは、ノーマルの18インチ(235/55R18)から19インチ(235/50R19)にアップされていましたが、それでも路面の突き上げを上手にいなし、滑らかに走ります。ステアリングフィールも神経質なところがない。

ドライバーをせき立てないDrive-Eガソリンエンジンの出力特性と併せ、気楽にドライブできます。XC40モメンタムは、ボルボのコンパクトSUVとして、最も”らしい”選択肢のひとつなんじゃないでしょうか。単なる廉価版では、全然ありません。

■汚れへの強さで選べばT4 AWD インスクリプション

続いて「T4 AWD インスクリプション」をドライブします。モメンタムとの違いは、ホイールが元々19インチで、グリルや窓枠にクローム、ルーフレールにアルミが用いられ、全体にきらびやかな印象。シートは、前後ともにヒーターを標準装備する本革仕様となり、パネル類、シフトノブなども異なります。

モメンタムとの価格差は40万円ですが、装備の違いを考慮すると、実質的な差はそれほど大きくありません。モメンタムを19インチ化(9万円)し、前席ヒーター(4万5000円)、ステアリングホイールヒーター(2万6000円)、パークアシスト(5万円)、ワイヤレススマートフォンチャージ(2万8000円)などのオプションを加えると、プラス23万9000円。さらに、今回の試乗車のようにホワイトカラールーフ、サンルーフ(20万6000円)、パワーテールゲート(5万8000円)を選ぶと、インスクリプションの価格を上回ります。

ですから、インスクリプションを選択する理由としては、華やかなルックス、充実した標準装備のほか、革シートの方がファブリックよりも汚れに強い、といったことが挙げられるかもしれません。SUVらしく、時には泥んこになった乗員が乗り込むことがある…、そんな状況が予想されるユーザーの人は、むしろインスクリプションを検討してみてはいかがでしょう?

さて、最後にちょっと残念なニュースを。日本市場は、ボルボのコンパクトSUVが“最も足りない”マーケットのひとつのようで、約3000台の受注に対し、ようやく確保されたのが約2000台。つまり、まだ1000台前後のウェイティング=納車待ちがある…わけです。でも、ポジティブに考えれば、これからオーダーを入れる人は、必然的に(!?)受注生産になるので、好みの仕様に仕立てられます! 楽しく迷って、そして、自分色に染めたボルボXC40で来春を迎えましょう!?

<SPECIFICATIONS>
☆T4 AWD モメンタム
ボディサイズ:L4425×W1875×H1660mm
車重:1670kg(サンルーフ付き:1690kg)
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:190馬力/4700回転
最大トルク:30.6kg-m/1400〜4000回転
価格:459万円

<SPECIFICATIONS>
☆T4 AWD インスクリプション
ボディサイズ:L4425×W1875×H1660mm
車重:1670kg(サンルーフ付き:1690kg)
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:190馬力/4700回転
最大トルク:30.6kg-m/1400〜4000回転
価格:499万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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