■保存作業は現在進行形! 今なら作業の過程も見られる
根が張った状態で展示室内に立つのは、杉が3本と広葉樹が4本。1998年から3年かけて行った発掘で確認された30本の立木、その範囲の一部を囲って地下施設が作られてました。ここでは、展示公開と同時に、保存のための作業が行われています。2002年の開館以来、試行錯誤を繰り返し、砂糖の一種「トレハロース」を塗って保存する方法を取り入れることにしたそう。過去に例がない規模での保存処理で、すべてが新しい取り組みです。
施設の中央部は、囲いがあって足を踏み入れられないのですが、予約をすれば個人・団体ともにガイドツアーをしてもらえます。ただし、繁忙期だと難しいそう。でもぜひガイドツアー付きでの参加を! 柵に囲まれたさらに先に入れてもらえたり、実際に触れることもできるそうです。
■貴重なものとはつゆ知らず、切って10年以上も放置!?
そもそもの巨木は、水田工事の過程で発見されました。なんとものどかな話なのですが、地面の下にあった「じゃまな木」を取り除こうとしたところ、掘っても掘っても深く続いている。
この時は「火山噴火で埋もれた大昔の森」という価値には気づかず、約5mの深さまで掘ったところで巨木を切り、工事を進めました。その時に近所の方が撮影していた写真を、数年後に三瓶火山研究家の松井整司さんが目にして学術的な価値を指摘し、調査を始めたのです。苦労の末、ようやく地中に立ち並ぶ太古の森を発見したのは1998年のことです。
■天然記念物だけどグッズが作れる理由
こちらの埋没林、現在は国の天然記念物に認定されています。その認定より前に発掘した根がない木があるのですが、施設の1階ではそれらを使ったグッズを販売中です。つまり、「ほぼ」天然記念物のグッズです。「埋もれ木」と呼ばれるこの杉の木を使ったキーホルダーやストラップは、残りの数がそう多くはありません。縄文時代の木を持ち歩くのって、ちょっとロマンがありませんか?
この公園では、毎年7月ごろになると大田市指定の天然記念物・古代ハス(大賀ハス)が咲き誇り、ピンク色の美しい光景が広がるそうです。この時期に訪れた人は、地下だけでなく、地上もチェックをお忘れなく。
>> 三瓶小豆原埋没林公園
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(取材・文/北本祐子)
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