■3Dプリンターで10回以上のプロトタイプを試作
3D Realfun 3D Printerは3Dプリンターを用いて製品の試作品を作るサービス業者だ。
▲数多くの3Dプリンターが並ぶ。こちらはテグスのようなものを溶かしながら積層していく、低コストな方式
▲こちらは液体状の樹脂に紫外線を当てることで硬化させる方式。コストは高いが精度の高いプロトタイプを作れる
▲部品ができあがったところ
セサミは米国のサムターン(内鍵つまみ)に対応するため比較的大型だったが、セサミ miniは日本市場をターゲットにしたモデルのため、かなりコンパクトに仕上がっている。
▲従来モデルのセサミ(写真中央左側)と日本向けモデルのセサミ mini(写真中央右側)。米国のサムターン(写真左側)と比べて小さい日本のサムターン(写真中央)に向けて小型化した
セサミと同じ基板やモーター、センサーなどを流用してコストを抑えつつ、小型化を図るために10回以上も3Dプリンターで試作を重ねたとのことだ。
「日本にも3Dプリンター業者はありますが、ここは夜に依頼して次の日には製作してくれるスピードが魅力です」(セサミシリーズを製造販売するCANDY HOUSE CEOのJerming Gu氏)
▲セサミシリーズを製造販売するCANDY HOUSE CEOのJerming Gu氏。台湾出身で大阪で日本語の勉強をした後に米スタンフォード大学に留学したという経歴の持ち主で、日本語も流暢に話す
■金型製作に長年のノウハウを注入
続いては金型工場を訪れた。こちらではプロトタイプの試作を繰り返した後にできた設計図を基に、量産化のための金型を製作する。
金型には樹脂を注入し、固めてから取り外すという工程がある。そのため、注入のしやすさ、取り外しやすさなどに金型設計の長年のノウハウが必要になる。
▲ビスを留める部分に厚みがあると冷えたときに縮むため、最適な厚さになるように金型工場から指導があったという
▲樹脂を注入する穴の場所、成形後に押し出すための穴を設ける場所などにも長年のノウハウが結集されているとのことだ
深センの金型工場では2週間ほどでできあがるのに対し、この金型工場では金型作りに4~5週間、その後の修正に2週間と、約7週間ほどかかるとのこと。しかし、「信頼性が高くてその後のトラブルがないため、管理コストを抑えられるのが魅力だ」とJerming氏は語っていた。
▲金型工場の中の様子
▲こちらはセサミ miniの金型。金型にはノウハウが詰まっているので、ほとんどのプレス向け見学会でも撮影NGのことが多い
▲プレス機でセサミ miniのプラスチック部品を成形しているところ
▲プラスチック部品ができあがったところ
▲できあがると、検品が行われる
▲検品しているところ
▲こちらは金型の製作や修理などを行う現場
▲熟練の職人が作業に当たっていた
【次ページ】スマホケースなども手がける塗装工場でカラーリング▶