■釘を使わずに木を組んだ伝統的な設計
こちらがにんべんの「鰹節削り器」です。お値段は1万4040円(税込)。鰹節削り器もピンからキリまであるようですが、同社の製品はかなりこだわって作られています。
鰹節削り器の基本的な構造として、カンナで本節を削ると、引き出し部分に削ったかつお節が溜まるようになっています。
鍛冶職人の町として有名な新潟県三条市のカンナが装着されており、カンナ台は長く使えるように堅い樫の木を使用しています。さらに、箱材は天然の桐が使われており、防音、防虫効果があるだけでなく、温度変化にも強いそうです。
すべて手作業で組まれており、釘は一切使っていません。こういった部分にも「メイドインジャパン」のこだわりを感じます。
■最高級の道具でかつお節削りに挑戦!
鰹節(本節)削りに挑戦するべく、今回2種類の鰹節を用意しました。鰹節には「背節」と「腹節」があり、腹節は背節に比べると若干脂肪分が多く、コクのある濃いだしがとれるそう。
脂肪分が多いからこそ腹節は粉になりやすいという一面もあるので、料理に合わせて使う本節を使い分けるといいでしょう。
まずは、鰹節の表面についたカビを乾いたふきんやペーパータオルで拭き取ります。次に、カンナ台を木槌で軽く叩いて刃を調整しましょう。カンナの台頭を叩くと刃が下がり、台尻を叩くと刃が上がります。指先で触ってわずかに刃が触れるくらいがベスト。刃が指先に当たらない状態から調整するといいそうです。
鰹節には目があるので、頭側から押すようにして削っていきます。
生まれて初めて鰹節を削ってみましたが、上手く刃に当てるのはなかなか難しい。最初は粉になりやすく、ある程度削っていくとふわっときれいなかつお節ができてくると聞き、根気良く削り続けました。こんなふうにして普段食べているかつお節の姿になるんですね。
削りたてのかつお節の香りは、スーパーで買うかつお節とはまったくの別物。この香りだけでごはんが食べられそうな勢いです。
刃の立て具合や力の入れ加減、削るスピードなどでも仕上がりに差が出るのが自分で鰹節を削る楽しみのひとつ。最初はなかなか上手く削れないのですが、スムーズに削れるようになったときのよろこびはひとしおです。
削りたてのかつお節のおいしさを知れば、もうあと戻りはできなくなるはず。“鰹節削り器で鰹節を削る”というひと手間かけるだけで、新たなおいしさを見つけられるのが、自分で鰹節を削る醍醐味といえるでしょう。
>> にんべん
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(料理・文・写真/今西絢美)
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。
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