■実はこだわりだらけの各機能
スタートボタンを押すと、ミルが動き出します。当然ですが、そこそこ大きな音がします。硬いコーヒー豆を挽く以上、これは仕方がないこと。
ちなみにミルは臼式。ミル付きコーヒーメーカーで臼式はかなり珍しいかも。臼式はカッター式とは異なり、雑味の原因となる微粉が出にくいという利点があります。さらに、このゆっくり挽くようにしていることで、摩擦熱を抑えて風味を損なわないようになっています。と、ミルだけとっても、かなりこだわって作られたことが分かります。挽かれた粉の粒度を隙間からのぞいて確認すると、なかなかのそろい具合です。コーヒー粉の粒がバラバラだと味にバラつきが出てしまうので、これだけそろっているなら期待できそう!
挽き終わった頃にはお湯が設定温度にまで沸いているらしく、ミルの音が止んだらすぐにお湯が出てきました。
お湯の落とし方にもこだわりが。6方向から粉の中心に向かって射つようにお湯が出る仕組みになっています。ミルで挽いた粉は、どうしてもフィルター内で中央が盛り上がったカタチに積もります。そこで、粉が厚く積もった中央部分にお湯を当てて、かつフィルターに直接お湯が当たらないようにするために生み出されたのが、中央に向かってお湯を当てる機能なんです。コーヒーをドリップする際、お湯をペーパーフィルターに当てないのは基本中の基本。コーヒーメーカーでそこをきちんと押さえているなんて、これはスゴイ。
お湯は少量で、一度ストップします。そう、ちゃんと蒸らしもしてくれるんです。その後、再度お湯を落としはじめ、コーヒーを抽出していきます。
ドリッパーと本体の間には少し隙間が空いています。これによって、コーヒーのアロマ(香り)が部屋にふわっと広がる。ドリッパーが本体内部に隠れている形状ではできない芸当です。香りは重要。それを楽しめるのはうれしい!
豆を挽き始めてから7~8分でドリップが終了。そのまま自動的に保温モードに入ります。保温時間は20分。必要なければ<START/STOP>ボタンを押して、切ってしまいましょう。
淹れ終わったあとのコーヒー粉を見てみると、粒度がそろっていることがわかります。中心に向けてお湯が当たるため、粉がこんもり盛り上がっていた中心部がへこんでいて、しっかりと抽出できていることがわかります。
できあがったコーヒーがこれ。今回は、中深煎りのエチオピア産シングルオリジンを使いました。アフリカのコーヒー豆らしい花のような華やかな香りが鼻をくすぐります。
さっそく飲んでみます…。
おっ! これまでアフリカ系の豆は、高めの温度で淹れて香りを立てるようにしていたんですが、このコーヒー、しっかりと香りがあり、そして酸味も甘みも感じられます。イヤな酸味ではなく、コーヒーが植物であることを感じさせてくれる自然な酸味、そして後味として余韻を残す甘みです。これは83℃という低い温度で淹れたからこそ感じられる部分なのかも。中深煎りなので、ボディ感(コク)も感じられますが、それよりも華やかさを楽しみたい豆に最適な温度かもしれません。
ちなみにこの83℃は、田口さん推奨の温度。さすが世界中のコーヒー豆を味わってきたレジェンド。この温度、参考になります!
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難しい設定は必要なし。温度設定だってふたつだけ、豆の挽き具合も3つだけ。とにかくシンプルな設計は、「難しいことは分からない」「細かい設定項目があっても結局はいつも同じにしてしまう」という人にも扱いやすい構成ではないでしょうか。
しかも淹れたコーヒーは、コーヒー豆が持つ本来のおいしさを引き出した一杯に。これがボタンひとつでできるんです。ちなみに、ミルの部分は本体から外せるので、メンテナンスもラクラク。
たしかに価格はそこそこですが、とにかくおいしい一杯を“手軽”に飲みたいという人には惜しくない投資かもしれませんよ。
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(取材・文/&GP編集部 円道秀和)