[Gear Maniax #108] 銃器メーカー「ワルサー」が手掛けるタクティカルライト

SUREFIRE「6PX」にインスパイアされたようなエルゴノミックボディ。把持部に施された滑り止めのチェッカリングがオリジナル。結構しっかりと密に刻まれております。

外観上の最大の特徴のひとつがこのストライクベゼル。ただ尖塔状であれば可愛いものですが、このスクリュー状に回して下さいと言わんばかりの形状はエゲツないです。

携帯する時は、付属のナイロンホルスターに入れてないといけませんね。ベゼルダウンだとホルスターがすぐ解れそう…。ポケットに突っ込んで持ち歩くようなサイズのライトではありませんが、くれぐれもご注意を。

もう一つの特徴が、デュアルスイッチ仕様のテールキャップ。丸い凸状のスイッチがメインスイッチ。半押しでの間欠点灯が可能で、必ずHiモードを作動させます。凸状になっているので、垂直に押すだけでなく、下や上から倒すように押しても作動します。厚手のグローブなどをした状態でも、操作しやすい工夫が施されています。

テールキャップに付く誤点灯防止のクラウンよりも若干引く位置に配されている半月状のスイッチは、モメンタリーストロボ兼モード切替となります。消灯状態もしくは、点灯状態からこの半月状のスイッチを長押しすると、押している時だけ作動するオートストロボ点滅。どの状態からも発動が可能な点は、わざと押し難くしたように思えるものです。

ストロボ点滅を作動させるコツですが、半月状のスイッチだけを押すのではなく、メインスイッチも含め、テールキャップの中心付近を押し込むと、比較的やりやすいかと思います。

このライトをどのように構えるかでユーザーの意見は分かれるかと。メインは、HiモードのON/OFFのみで、ストロボ点滅や調光は「おまけ」的な存在にさえ思えます。初見では、KLARUSやNITECOREにあるデュアルスイッチモデルと同じコンセプトを持ったモデルかと思いましたが、全く異なる製品でした。

真正のタクティカルライトとは、ON/OFF以外の機能は備わっていないのモノ。たくさんの機能やモードが合ったほうが便利なのでは? と思われがちですが、それは、本物を知らないだけです。「必要のないものは付けない」これがプロフェッショナルが望むスタイル。

ですが…、コンシューマー向けのマーケットは厳しいです。あれもこれもとマーケットからの要望で足さなければ、「魅力が少ない」と思われる傾向があります。それらの要望を満たしつつ、本当に使って欲しいユーザーが使いやすいように仕上げるのは、困難と言えるでしょう。「TGS60」のスイッチには、そんな開発者の苦悩が見え隠れします。

使用電池は、CR123Aリチウム乾電池2本、または、18650形リチウムイオン充電池1本。複数の異なる電源が使えるデュアルフューエル仕様はとても便利です。18650に関して慎重だったメーカーも今では少ないかと思います。少なくとも、ハイルーメンを謳うようなスペックを持つライトでは、乾電池のみでの運用はかなり厳しいかと思います。満充電4.2Vで搭載LEDをフルドライブさせるか、ターボモードと称して短時間のオーバードライブを効かせ、ルーメンを絞り出す必要に迫れています。

▲Hiモードは650ルーメン

26mmの低反射加工されたクリアなレンズの下には、鏡面加工されたスムースリフレクターがあります。狭角と言える鋭い中心光と狭めの周辺光は、いかにもタクティカルライトといった感じです。能動的に対象を探し出し、光りでもって制するタイプ。一般的な懐中電灯と考えると周辺光は狭すぎます。そのような用途のライトではありません。

このライトは最大でも650ルーメンに明るさを抑えています。調光も2段階のみで、Lowモードは65ルーメンの設定。搭載するLED種と使用電源を鑑みるに、もっと盛ったスペックを出すことは不可能ではありません。しかし、そうしなかったところに好感が持てます。

タクティカルライトにもさまざまな考え方があります。集光性を狙ったライトで、ルーメンを先行させた考え方でライトを作ると、巨大なヘッドを持ったターボヘッドモデルができ上がります。ある程度、携帯性を考慮したサイズに収めるには、明るさは予測されるユーザーの用途に応じたものに収め、無理をさせないスペックにすることが重要かと思います。「TGS60」は、それを実践したモデルと言えるのではないでしょうか。(アカリセンター価格:8640円)

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(文・写真/アカリセンター・HATTA)

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