2015年を代表する最も話題となった家電は何?と問われたとき、「BALMUDA The Toster」は外せないでしょう。ヒーターでパンを焼くだけというシンプルな機能故に、この数年大きな進化もなく、枯れた家電製品と思われていたトースターを大きく進化させたのが「BALMUDA The Toster」です。
この「BALMUDA The Toster」がヒットした最大の理由が、パンをおいしく焼けることにあります。その秘密がスチーム技術と完璧な温度管理機能です。パンを焼くときに5ccの水を投入し、高温のスチームにすることで、素早くパンの表面を軽く焼くことができます。これにより、パン内部の水分を逃がさずキープ。さらに選んだモードに応じてた庫内温度にきめ細かく調整します。
例えば、表面を焦がしたい“チーズトーストモード”では最後の数分間、庫内温度を高めることでチーズをしっかりと焦がすことができます。逆に生地が焦げやすい“クロワッサンモード”では表面を焦がすことなく、それでいてさっくりと仕上がるような温度帯で中までしっかりと温めることができるのです。
そんな今年最注目のトースターを生み出したBALMUDAがイベントを開催しました。その名も『BALMUDA ザ☆リベイクナイト』。「リベイク」とは「ベーカリーで買ってきたパンを温め直すこと」だそう。「BALMUDA The Toster」があれば焼きたてのおいしさを再び、取り戻すことができるというわけです。
イベントに登壇した同社の代表取締役社長である寺尾 玄氏は「BALMUDA The Tosterで焼いたパンは、ベーカリーで焼いてすぐのときよりも表面がちょっと厚くなり、よりさっくりとした食感が味わえるようになる」と語ります。
そもそも、「BALMUDA The Toster」は寺尾社長が毎朝トーストを食べていて、もっとおいしく焼きたいと考えていたからだといます。17歳のときにスペインで味わったパンの美味しさ、そして雨の中のバーベキュー大会で思いがけず焼けた至福のトーストといった、「BALMUDA The Toster」が生まれるきっかけになったエピソードは同社のWebサイトにも詳しく記載されており、すでに見聞きした方も多いはず。
そうして完成した「BALMUDA The Toster」では、コンビニのパンをおいしく焼けるのはもちろん、こだわりのパン屋さんのパンはさらにおいしく焼けることがわかりました。
「17歳の時にスペインで食べたパンをこの『BALMUDA The Toster』で焼いたらどうなんだろうと、荷物を詰め、成田に……行けたらいいんですが、残念ながらいまは会議が一杯あってそんな時間がとれない。だから、東京にある美味しいパン屋さんに集まっていただきました」と寺尾氏は語ります。
至福のパンが次々と登場
この日用意されたのは、都内にある4軒のベーカリーのパン。最初に提供されたカタネベーカリー(代々木上原)からは十勝小麦あんパン、クリームパン、クロワッサングリエールが登場しました。
そのまま食べるときと違い、リベイクすることで表面がカリっと、そしてあんやクリームが温かくなり、クリームは柔らかくなります。この食感はまさにリベイクならでは。
あんの旨みはさらに増し、クリームは香り豊かに楽しめます。さらに、クロワッサンはさくさく感がアップ。小麦やバターそしてチーズの香りも満喫できます。
実はこの日、魅力的なパンと同時にワインも提供されており、リベイクしたての至福のパンを食べながらワインが楽しめるという幸せな時間でした。
続いて2軒目となるパーラー江古田(江古田)のパンが登場。用意されたのは黒こしょうとカシューナッツ(カンパーニュ)、キャラメルバナナのブリオッシュ、フォカッチャの3種類です。
黒こしょうとカシューナッツは、表面のカリっとした食感に黒こしょうのぴりっとした味がプラスされて赤ワインにマッチ。フォカッチャとともに、クラム(パンの身の部分)は非常にしっとりとして小麦の風味が優しく味わえました。
キャラメルバナナのブリオッシュは温めたことで甘さがアップ。デザートといえる逸品に仕上がっていました。
続いて冷凍による宅配でもパンを販売しているシニフィアン・シニフィエ(世田谷)。冷凍パンを販売する上で、パンを美味しく解凍する方法を伝えることに苦心していると語る志賀シェフは、「BALMUDA The Toster」を使うと手間なく美味しく解凍できると高く評価します。
今回はパンドブラン、チャパタ、バケットポルチーニを用意。なかでも際立っていたのがバケットポルチーニです。生地の中にポルチーニ茸を練り込んでいるというこのバケットは焼くことによって、クラスト(皮)の食感が強くなり、口の中にほのかにポルチーニの香りが漂います。これもクラムに含まれている水分をキープしているからこそ、しっとり香り豊かに仕上げられたようです。
そして最後に登場したのが365日(代々木八幡)。用意されていたのはヴィーニュ、白こしあんぱん、そしてクロックムッシュです。なかでも際立っていたのが、表面をたっぷりのチーズで覆っていたクロックムッシュ。口元を近づけただけで、濃厚なチーズの香りが漂ってきます。
たまらず、パクッと口にするとその熱さにうなってしまいますが、同時にとろっとしたチーズとその下にあるクリーム、そしてパンのサクふわっとした食感を同時に味わうことができます。飲み込むのがもったいないと思うほどに至福の時間でした。
寺尾氏曰く「東京を代表する4軒のベーカリーから集まった最高のパン」が堪能できた『BALMUDA ザ☆リベイクナイト』は、パンにあう美味しいワインととにもリベイクしたてのそれらを口にできる最高の時間でした。
「BALMUDA The Toster」を紹介するとき、どうしても安い、コンビニの食パンでも小麦の香りがする最高の美味しさに焼き上げられることを語りがちです。
しかし、寺尾氏が語るとおり「美味しいパンをリベイクするともっと美味しくなる」ことをしっかりと堪能させてもらいました。
「BALMUDA The Toster」をお持ちの方は是非、これらの4軒のベーカリーはもちろん、好みのベーカリーの美味しいパンをリベイクしてみてはいかがでしょうか。さらなる美味しさに出会えるはずです。
(文/コヤマタカヒロ)