■CX-5より200kg以上重いCX-8との相性は?
CX-5の商品改良とほぼ時を同じくし、3列シートSUVのCX-8にもSKYACTIV-G 2.5T搭載グレードが設定されました。エンジンスペックはCX-5と同じですが、ボディが大きい分、ひとクラス重たくなるCX-8との相性が気になる人も多いことでしょう。
CX-8の場合、SKYACTIV-G 2.5Tが設定されるのは4WDのみで、その最上位グレード「25T Lパッケージ」の車両重量は、1880kg〜となります。同等装備のCX-5「25T エクスクルーシブ・モード(4WD)」は1680kgなので、ざっと200kgは重いことになります。
両車の違いを最も感じられるのは、発進時や加速時。CX-5の場合、アクセルペダルを大きく踏み込むと背中にしっかり加速Gを感じますが、CX-8ではスッと自然にクルマが前へ出ていく印象です。大型サルーンのようになめらかな加速感で、気づくと速度が乗っているタイプ、といえば、CX-8×SKYACTIV-G 2.5Tの走りの様子をご理解いただけることでしょう。CX-8は今回の改良でリアゲートや荷室フロア周辺を改良し、静粛性が向上していることも、サルーンのような加速フィールにつながっているのかもしれません。
また、これまでCX-8のエンジンはディーゼルターボのみの設定で、その走りは活発というよりも、どちらかといえば、しっとり重厚な感触でした。しかしガソリンターボモデルは、CX-8らしいしっとり重厚な乗り心地はそのままに、なめらかで自然な加速感と、程よく穏やかな乗り心地をプラスしています。
なめらか、とか、おだやかというと「遅いのでは?」と勘ぐってしまいそうですが、そこはご安心を。ストップ&ゴーが続く都市部でも流れを十分にリードできますし、高速道路での追い越し加速や上り坂においても、ストレスを感じることはありませんでした。むしろ、スムーズで息の長い加速には、アッパーミドルクラスのSUVらしい風格すら感じたほどです。
一方で、CX-8ガソリンターボ車の走りをディーゼル仕様と比べてみると、ハンドリングとコーナリング時の身のこなしに変化が感じられました。スペックシート上では、双方の重量差は20kgしかありませんが、軽量なガソリンターボ車の方が、ハンドル操作に対してスムーズにフロントノーズの向きが変わり、つづら折りのカーブでもクルマの動きがやや軽快に感じられたのです。
これはCX-5と同様、GVCがGVCプラスに進化したこともひとつの要因と思われますが、このサイズのSUVが思いのほか軽やかなフットワークを披露してくれるのは、面白くもあります。CX-8らしい落ち着いたキャラクターや乗り心地を犠牲にすることなく、ちょっとスポーティ、というサジ加減は、ミニバンに匹敵する優れた実用性でCX-8を選んだものの、たまには走りも楽しみたいという方には、なかなか絶妙なものかもしれません。
新しいSKYACTIV-G 2.5Tの採用で、CX-5はそのキャラクターに磨きをかけ、CX-8は秘めたる一面を披露した、というのが、今回の商品改良に対する率直な感想です。フルモデルチェンジのように劇的な変化ではありませんが、常により良いクルマを提供したいという姿勢にはエンジニアの熱意を感じますし、そうした真面目なクルマ作りの姿勢も、今ではマツダの個性になっているといえるのではないでしょうか。
<SPECIFICATIONS>
☆CX-5 25T エクスクルーシブ・モード(4WD)
ボディサイズ:L4545×W1840×H1690mm
車両重量:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:230馬力/4250回転
最大トルク:42.8kgf-m/2000回転
価格:387万7200円
<SPECIFICATIONS>
☆CX-8 25T Lパッケージ(6人乗り)
ボディサイズ:L4900×W1840×H1730mm
車両重量:1880kg
駆動方式:4WD
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:230馬力/4250回転
最大トルク:42.8kgf-m/2000回転
価格:424万4400円
(文&写真/村田尚之)
[関連記事]
【e-BOXER vs.スカイアクティブD】CX-5オーナーも気になる!新型フォレスターの魅力と実力
【マツダ アテンザ試乗】ここまでやるか?6年目の大改良にマツダの本気を垣間見た
熟練エンジニアのワザと情熱が今に伝える!ル・マン優勝車 マツダ787Bの勇姿