■往年のアメ車の雰囲気を最新の日本車クオリティで
往年のシボレー「コルベット」を連想させるロックスターのルックスは、フロントノーズの長い、いかにも古典スポーツカーのもの。かつてのコルベットを知っている人にとっては懐かしく、また、知らない人にとっても新しく感じられるデザインではないでしょうか。
ロックスターのボンネットは、古いアメ車のようにボリューム感あふれるもの。存在を隠すかのようなコンパクトで丸いヘッドライトと、“BF GOODRICH”の白いロゴが入った試乗車のタイヤが、かつてのコルベットを思わせるレトロな雰囲気を醸し出しています。
試乗車のボディカラーは、“ロサンゼルス ブルー”と名づけられた華やかな水色を基調に、ルーフやサイドミラーを白に塗り分けたインパクトのある色使い。街を走っていると人々の目を惹きつけ、乗っていた私は、まさに“ロックスター気分”を味わいました。
なおボディカラーのネーミングには、いずれもアメリカの都市名が付けられていて、赤は“シカゴ レッド”、黒は“ニューヨーク ブラック”、オレンジは“シスコ オレンジ”、白は“ワシントン ホワイト”、そして黄色は“アリゾナ イエロー”となっています。ちなみに、現在までの受注状況では、一番人気がロサンゼルス ブルー、以降はニューヨーク ブラック、ワシントン ホワイトと続くのだとか。
そんなロックスターのベースになったクルマは、国産2シータースポーツのマツダ「ロードスター」。ギネスブックに認定されるほどの人気車をベースとするため、動力性能やインテリアのクオリティ、安全装備、そして、燃費などの面で高い信頼性が約束されます。
光岡自動車では、ロードスターをベースにしたヒミコを販売していますが、そちらは往年のイギリス車を思わせるクラシカルなルックス。一方のロックスターは、1960年代のアメリカ車を想起させるスタイルと見事に作り分けています。それだけロードスタ―というクルマは、いろいろなイマジネーションを掻き立てるクルマなのかもしれません。
ロックスターのボディサイズは、ロードスターと比べて全長が430mm長く、全幅も35mm拡大されています。ロックスターのボディパネルはFRPで成形されていて、ドアの開口部や給油口のフタなどをよく見ると、つなぎ目がなんとなく分かるのですが、普通に眺めていると見逃してしまいそう。それだけ完成度が高いといえます。また、ソフトトップもロードスターのものがベースなので、手動で軽々と開閉でき、使い勝手にも優れています。
オプション装着されていたタイヤの影響で、ドライビングフィールは少しゴツゴツした印象でしたが、基本的な走り味はロードスタ―そのもの。その見かけからは、ロックスターはアクセルペダルを踏み込むと、力強く加速していく印象を受けますが、拍子抜けするほど普通です。また、ルーフを開けた時の車内への風の巻き込みも、さほど気にはなりません。ヒーターが強力なので、冬でも足下はヤケドしそうなくらいの熱風に包まれます。もちろん、上級グレードにオプションのシートヒーターを選べば、冬のドライブも快適です。
ちなみに現在、試乗できるロックスターは全国に1台だけ。今回ドライブしたクルマも、その後、富山に戻り、今では全国のディーラーを巡っているのだとか。なお、ロックスターは限定200台ですが、すでに186台分(2019年1月16日現在)のオーダーが入っていて、残りはあとわずか。とはいえ、生産台数は年間50台ほどといいますから、今からオーダーする方は納車されるのを気長に待ちましょう。
優等生なロードスターをベースとしているのに、出来上がったロックスターはかなりやんちゃ。今回の試乗では、ロードスターというモデルの優秀さと、光岡自動車のユニークなクルマ作りを、改めて実感することができました。
(文/吉田由美 写真/村田尚之)
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