外見は普通の小型タイプで、片側の重量は4.6g。気になるBAドライバーは有線イヤホンの高級機でも実績のある米Knowles社のフルレンジBAドライバーですが、外から見ても中の構造はわかりません。なお、イヤホンの外側の面は左右ともマルチボタンとなっていて再生/停止、早送り/戻し、音量+/音量-の操作にも対応しています。
イヤーピースは、S/M/Lの3サイズを付属。シリコン系の素材ですが、半透明のグレーで柔らかなタイプです。イヤホンのノズルと筐体の角度に合うようにイヤーピースがカット済みでフィット感を高めてあるなど、細かな作り込みが施されています。
普段は標準のMサイズのイヤーピースを付けているのですが「S60」はLサイズがフィット。人間工学に基づいた耳の内側にぴったり収まる構造ですが、上手くフィットしない人は落下しないか心配になるかもしれません。ちなみに、IPX5相当の防水なのでランニング等は対応できます。
そして「S60」のもう一つのインパクトが、極小サイズともいえる他にはない充電ケースです。実測で本体幅65mm程度と、掌にすっぽりと収まる超小型。もちろん充電ケースなのでバッテリー内蔵です。イヤホン本体が最大4時間再生、ケースで3回充電なので合計12時間とスペックは控えめですが、これだけ小さければ、ポケットに入れて持ち歩くイヤホンとしてもお手軽ですね。
しかもこの充電ケース、ワイヤレス充電にも対応しています。試しに手元にあったQi規格対応のワイヤレス充電器の上に置いてみると充電に成功。小さなケースに最先端の規格入りすぎでしょ…。
なお、Bluetoothの規格は5.0でAACコーデック対応。ワイヤレス仕様はごく普通です。
■気になる音質は…
それではiPhoneとペアリングして“BAドライバー”搭載のサウンドを聴いていきましょう。
宇多田ヒカルの『あなた』を聴くと、音空間のなかに繊細な音で満たされるサウンド。少しエコーの付いたような感覚もあるんですが、歌声には誇張感がないし、透き通るような美しさでハーモニーを丁寧に出していきます。低音は量的には控えめで、迫力に振ったトーン。
Bruno Marsの『24K Magic』を聴くと、音のマイルドな広がりと、低音はゴツゴツとしたパワーでバランスを取っていきます。音楽的な相性としては電子楽器より、ボーカルや生の楽器のサウンドの方が合っているタイプですね。特に中高域の繊細な表現力は、ダイナミック型とは違ったBAドライバーでしか到達できない領域。わかりやすくメリハリの付けた高音質とは、またまた別次元のサウンドを実現しています。
Astrotecの「S60」、特徴はやはりBAドライバー搭載になるのですが、極小サイズのケース、ワイヤレス充電搭載と、最新技術を投入したマニアック過ぎるモデルと言えるのではないでしょうか。それでいて実売価格9980円というプライスは、なかなかの高コスパ。中国ブランドの開発力恐るべし、ですね。
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(取材・文/折原一也)
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