スバルといえばAWD(All Wheel Drive=4輪駆動)――。そんなイメージを確固たるものにした立役者といえば、「レガシィ ツーリングワゴン」だろう。
1989年に登場した初代や、1993年に発売された2代目、中でも、水平対向ターボエンジンを搭載するハイパフォーマンスグレード「GT」は、ウインタースポーツを楽しむ人たちから高い支持を集めた。
その理由は、かさばりがちなスキー&スノボアイテムを余裕で飲み込む広いラゲッジスペース、高性能エンジンによる優れた動力性能、そして、AWDによる雪道でも安心の走行安定性という3つの美点を、1台で兼備していたから。そうした趣味人たちの高い支持が、雪道ならスバル、というイメージ確立へとつながった。
実際、レガシィ ツーリングワゴンの誕生から30年が経った今、スバルは驚くべきほどの“AWDメーカー”へと成長している。グローバルマーケットでの販売台数比率を見ると、スバル車の実に98.0%、つまり“ほぼすべてのスバル車”がAWDという状況。もちろんこれは、量産車メーカーとしては世界で最も高い比率だ。
日本市場は87.4%(OEMモデルを除く)と、世界水準に比べるとやや低いが、他メーカーのそれと比較すると、とんでもない比率となっている。しかも、雪国ではその比率がさらに高まり、例えば東北地方では、スバル車のうち94.4%が、AWD仕様だというのだ。冷静に考えてみると、これはすごいことだと思う。さらに、スバルの登録車のシェアは日本全体で2.9%に過ぎないが、東北地方に限っては3.62%と、ほかのエリアよりも高いシェアを獲得している(2018年9月時点の統計)。
では、雪の多い地域で、なぜこれほどまでにスバルのAWDが支持されているのか? 今回はその秘密を探るため、スバル自慢の“シンメトリカルAWD”を搭載する「フォレスター」で、東北・山形の市街地や山間部をドライブした。
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