■居住性
全閉です。サイズは400×225×H175cmで、パネル部分は幅200cm。
ヘリノックスのタクティカルコットは190×68×H16cmですから、コット2台を並べて、ウイング部分に荷物を置くとちょうどいい感じです。ソロなら自転車などちょっと大きめの道具を入れておけるのがいいですね。
パネル脇に注目。V型に開けられるようになっています。全閉状態でも出入りしやすいですね。
「Tac.フィールド4.0」のポールはY字型。
ワンポールや2ポールのシェルターは、フロア面積が広くても上部空間が狭く、入ってみると「なんだかそんなに広くないな」と感じることがあります。これを解消するためにはポールを高くのばし、フロアをより広くするしかありません。けれどもその分重くなりますし、そもそも日本の区画サイトでは対応しきれません。
ヘリノックスは発想を転換し、シェルターでロッジ型テントの居住性を目指したと言います。その答えがY字型ポールというわけ。上部空間が広くなることでパネルの角度は垂直に近くなっていることがわかります。全高は175cmとさほど高くはないのですが、ゆったりと感じます。ちなみに、一回り大きな「Tac.フィールド6.0」は、Y字型ではなく十字型のポールです。
Y字にすると強度が不安に思いますが、耐久テストを行ったところ一般的なシェルターやテントと同等の強度を得ていることがわかったそう。これはうれしいですね。
写真ではちょっとわかりづらいのですが、前後パネル部分は遮光コーティングを施してあります。黒い部分がコーティングされている証なんですが、黒などの濃い色のコーティングはどうしても色ムラが出やすいそう。日本人的にはなんだか「色ムラ=遮光性がムラ」のように思ってしまいますが、その心配はないのだとか。本体はとても薄く、軽いのですが、この遮光コーティングのおかげで温度上昇はゆるやか。夏の朝もゆっくり休めます。
中央を通るスタンディングテープは、バックルで取り外せます。スタンディングテープは設営時に役立ちますが、テープがサンダルに引っかかることがあるので、長期滞在時で天候が安定しているようなら取り外しておくといいですね。
テープを取り外したらこのメッシュポケットにイン。撤収時は忘れずにテープを戻しておきましょう。
■強度
本体は75Dリップストップポリエステルで、力のかかる場所は別布で補強されています。黒いバイアステープもきれいです。ちなみに、ファスナーのタブはグローブで扱いやすいロープタイプになっています。
ポールのジョイント部分はアルミ削り出し。溶接や曲げ加工、プレスではなく、アルミ合金の塊を削って形作るので剛性が高く何よりも美しい! ヘリノックスは世界中の名作テントの屋台骨となるフレームを手がけてきたDAC社のブランドですから、アルミ削り出しでもコストを抑えることができるのだそう。他社が同等のポールを使うと、販売価格が数割高くなるとのこと。ありがたいことです。
付属ペグは当然DACのJ-Stakeペグ。軽くて強度があり、何よりもカッコイイ優秀ペグですが、地面によっては見逃して置き忘れてしまうので注意してください。目印がわりのロープを通すなどカスタムしておきたいポイントです。
* * *
「Tac.フィールド4.0」はメッシュパネルや裾のスカートなど、今どきの快適装備は備えていません。虫嫌いの人にはツラいかもしれません。けれどもタクティカルの名前を冠しているなら過剰な快適装備は不要だと許せるから不思議。虫をガマンしたくないなら、片側を貼り出してソロテントをインストールするカンガルースタイルにして対応すればよし。収納サイズは小さいけれども、それができるだけのゆとりがあります。
ユーザーそれぞれのスタイルを受け止める懐の深いシェルター、それが「Tac.フィールド4.0」です。
[関連記事]
開放感抜群!独自のスタイルを築ける「軍幕」キャンプは楽しいことだらけ!
【保存版】サバイバルの達人に教わる野営術<シェルター設営編>
どれも設営カンタン!広々リビングでキャンプが楽しめるOgawaの新作テント
(取材・文/大森弘恵)