■ボタニカルには日本特有の食材「山椒」を使用
ジンはそももそベースとなるスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」で風味付けした蒸留酒。ボタニカルに何を使うかでジンに個性が生まれます。
「モンキー 47 エクスペリメンタムシリーズ 2y01:トーキョー」は、ボタニカルに山椒を使用しています。日本で作られているクラフトジンのなかにも山椒を使ったものはあるので、これだけを聞くと、日本人にとってはそう珍しいものではありません。
とはいえ、モンキー 47はドイツのブランド。これには、ブランドの創設者でブラックフォレスト蒸留所社長のアレクサンダー・シュタイン氏がもともと日本食への感心が深かったことが関係しているそうです。
■神戸牛の牛脂が生み出すまろやかな口当たりと香り
さらに、このクラフトジンの独自性を打ち出すのが「神戸牛」です。グラスに注いだジンを見ても見慣れた透明な液体なので、「本当に神戸牛が入っているの?」と思わずにいられません。
実際には神戸牛の肉を使うのではなく、牛脂を使用しています。牛脂を30℃でゆっくり溶かし、一旦アルコールのなかに入れ、冷やして牛脂を固めてフィルターでろ過する――。これにより、牛脂の香りだけをジンのなかに留めるそうです。
「神戸牛」とは、兵庫県で生産される黒毛和牛血統「但馬牛(たじまうし)」のなかでも、肉流通推進協議会が定める基準を満たしたもののことを指します。
神戸牛といえば、数ある和牛のなかでも甘みが強いのが特徴です。その理由のひとつは、ほかの和牛に比べてオレイン酸が2倍以上含まれているから。もうひとつの理由は、神戸牛の脂の完全融解温度はほかの和牛よりも1℃低い36℃前後となっており、口の中で脂が溶けるので脂っこさを感じないことによるそうです。
シュタイン氏はこのクラフトジンに対して、「アルコールではなく、“アロマ”を作りたいと思っていた。アルコールは表現をするための真っ白なキャンパスなんです」と話していました。
いろんな説明を聞いたうえで「モンキー 47 エクスペリメンタムシリーズ 2y01:トーキョー」を口にしてみたところ、山椒が生み出すスパイシーさと、神戸牛の牛脂が生み出すまろやかな口当たりには驚くしかありません。
とはいえ、実際に「神戸牛の味や香りがする!」というものではなく、あくまでもシルキーな口当たりを表現するためのひとつの方法として使われているようです。
今回の取材では、神戸牛の品評会で何度も最優秀賞を受賞している中西牧場を訪れました。創業80年、親子3代に引き継がれる牧場で育つ牛たちの様子を見ると、モンキー 47にも中西牧場にも「最高のものを世に送り出す」というこだわりを感じた気がします。
「モンキー 47 エクスペリメンタムシリーズ 2y01:トーキョー」は少量生産のため小売販売がありません。ただし、5月17日よりモンキー 47のブランドアンバサダー店でならテイスティングできます。飲めるのは恵比寿のバー「Bar Tram」「Bar TRENCH」「Bar TRIAD」の3店舗。
モンキー ブーズ ラボでは、これからも年に数回、少量生産のクラフトジンを作るそうです。まずは第一弾の「モンキー 47 エクスペリメンタムシリーズ 2y01:トーキョー」を楽しんでみてください!
>> モンキー 47
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(取材・文/今西絢美)
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。
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