「BRAVO」の外観は確実にアレに似ています。電気シェーバーですね。把持部が楕円形になっていて握りやすく、頭部が膨らんで首振り可能な形状など、髭剃りマシンにそっくりです。
ヘッドの可動域は広く、前方は120度、後方は45度ほどでしょうか。無段階で首振り可能ですが、0度(写真で上むき)と、前方90度でロックがかかります。使用頻度が高い、ストレートタイプとL型タイプのライトとしての使い勝手を考慮しているようです。
このロックは強引に回すこともできますが、サイドの回転軸部分にボタンがあり、これを押しながら回すとスムーズに回ります。素材が何であれ、この手のものを強引に回すと内部の噛み合わせが摩耗するので、プッシュボタンを使用することをお勧めします。
電池はテールから出し入れしますが、テールキャップのロックも特徴的。カムレバーになっていて、180度回すことでボディ側のロッキングパーツを巻き込んでロックします。軍もの関係は部品が脱落する場所のプッシュボタンを嫌いますので、そうした意識を受け継いでいるのでしょうか。一般的なねじ式よりも機構は複雑ですが、クイックに着脱でき、テールキャップが脱落しないメリットがあります。この動きもギミック感ありますね(笑)。ライフルのセレクタレバーをイメージさせます。
使用電池は単三電池2本。ぱっと思いつく類似機種たちも、単三×2本式なので、この仕様は米軍の指定なのかもしれません。個人で使うことを考えても、悪くないパワーソースです。面白いのは、電池2本でも1本でも使用可能なこと。明るさ、ランタイムは落ちるのですが、緊急時に電池1本でも動くのは心強い。
この面構え。中央のメインの白色LEDのほか、4つのサブLEDを搭載しています。合計5種類もの光源を備えているのです。ヘッドのすぐ下に、トグルスイッチがあるのがわかりますか。こちらはセーフティとなっており、不用意な点灯を避けるための機能です。暗いからといって「点灯してはならない」ことがある軍ものならではの機能。タクティカルライトは「絶対的正義マン」が数的優位の状況下で使用する想定であり、即応性を極限まで求めるのとは完全に違うベクトルです。“タクティカル”と“ミリタリー”は同じカテゴリにされがちですが、ライトとしての性質はかなり異なります。
と、いうわけで、ドキドキしながらトグルスイッチをロック解除マークの方へ動かすと、IR以外の光源が使用可能になります。いいですね、このギミック感。
ライトの首の部分にある3つのボタンは、右からグリーン、レッド、ブルーのLEDの操作スイッチになっています。光源1つにつきボタンが一つ用意されている贅沢仕様! いやあ、ほんと、いいですねえ(笑)。
メインの白色だけは、テールスイッチを使用します。このため生意気にも(?)タクティカルに使用できます。ただ、ON-OFFを頻繁に繰り返すようなタイプではなく、点灯したまま押し入るようなタクティカルにかな。どのスイッチも、最初のクリックで点灯させた時はHIGH、クリックのたびにHIGH→MED→LOWと移行します。少し時間を置いてクリックすると消灯。
このライトが真に面白いのは、メイン白色、サブRGBは全て同時進行で点灯できること。このためFIRSTLIGHT USAのMEDIC(衛生兵)向けライト「TORQ MEDIC」のような、RED&GREENの衛生兵仕様の照射も可能なのです。さらに、点灯、消灯が独立していて同時点灯が可能なのはもちろんですが、明るさすら個別に調整できます。器用な子…!
IRを使用する場合だけは、トグルスイッチをIRマークの方へスライドします。ご存知の方も多いとは思いますが、個人レベルの装備では赤外線を照射する暗視装置を使用することもまだ多くあり、これに対応した機能。暗視装置を必要とする現場で可視光を照射してはたまりませんので、IRだけ操作を分けてあると思われます。IRは通常点灯と点滅の2モード。残念ながら画像でお見せできるものがありません。点滅の方は取説ではIFFとなっており、同士討ちを避けるための敵味方識別のためのビーコンとなっています。この辺りの本気感もさすがです。
正直なところ、モダンなフラッシュライトの潮流からはすでに外れているかとは思います。明るさも80ルーメン。2000、3000、4000と進む現在のタクティカルライトとは比べるべくもありません。しかし、その設計の素敵さは今でも輝くものがあります。価値をわかってもらえるのであれば、これほど楽しいライトはなかなかないでしょう。
対抗機種であるSTREAMLIGHT「SIDEWINDER」、FIRSTLIGHT「USA TORQ」と比較してみるのも面白い。在庫オンリーなので、気持ちを引かれたマニアな人はお早めに!(笑) (アカリセンター価格:9828円)
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(文・写真/アカリセンター)
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