■Bluetoothなどの機能がないのは残念ながら、LAN端子を搭載
音声アシスタントを搭載するスマートスピーカーは、AmazonやGoogle、LINEのほかに、サードパーティー製の製品が多数販売されています。例えばJBLの「LINK 20」(実勢価格1万5000円前後)の場合、内蔵バッテリーで外出先でもBluetoothスピーカーとして楽しめたり、防水機能を搭載していたりしますし、ボーズの「Bose Home Speaker 500」(実勢価格4万7000円前後)はアップルの「Air Play 2」に対応するなど、それぞれ独自の“プラスα”があります。
その点、Orbi Voiceはネットワーク再生機能だけでなく、Bluetooth再生機能も非対応で、アナログ音声入力端子も備えていないなど、オーディオスピーカーとしては少し残念な仕様になっています。
とはいえ、もちろんオンリーワンの魅力もあります。それは、ベースがメッシュWi-Fiシステムのサテライト(中継機)であることもあり、LAN端子を2つ搭載している点です。最近は家電製品にもWi-Fi対応機器が増えていますが、少し前のテレビやBDレコーダーなどは有線LANにしか対応していないモデルも少なくないので、これをベッドルームなどに置けば有線LAN機器の接続口として使うことができます。
■メッシュWi-Fiの実力も検証してみたが……
さらに魅力なのが、メッシュWi-Fiのサテライトとして、自宅のWi-Fi環境をアップグレードできる点です。筆者の自宅にはケーブルインターネット(最大下り400Mbps程度)が入っているのですが、Wi-Fiルーターが設置されているリビングルームから最も遠い寝室ではあまり速度が出ないという問題がありました。Orbi Voiceを導入したら、それを解消できるのではないかということで試してみました。
テスト環境は以下の図の通り。サテライトとしてはちょっと近いようにも思いますが、キッチンで使いたいということで、Orbi Voiceはリビングルームに面したキッチンカウンターの上に設置。玄関、寝室1、バスルーム、トイレ、キッチン奥、寝室2の6カ所で速度をテストしました。
テストはインターネットの接続スピードテストができるスマートフォンアプリを使い、下り速度を計測するというもの。5回計測し、上下の数値を省いた3回分の数値を平均しました。すると、驚きの結果が出てしまいました。
寝室1は元のルーターでも平均74.3Mbpsなのですが、Orbi Voiceになると40.5Mbpsしか出ません。現状、利用しているサービスは上りが10Mbps程度と遅いのもあって、上りではほとんど有意な差が出なかったため、今回は省きました。しかし寝室1の場合、上りが場合によっては1Mbpsも出ないという惨たんたる結果になってしまったのです。
この問題はサテライトであるOrbi Voiceの置き場所に問題があるということで、いっそのこと寝室1に置いてみてテストしてみることにしました。サテライトがすぐ近くにあることもあって、平均202.5Mbpsと圧倒的なスピードが出る結果となりました。
* * *
メッシュWi-Fi搭載型AIスピーカー「Orbi Voice」についてのメリットとデメリットは、以下の通りです。
<メリット>
メッシュWi-Fiは置き場所を工夫すれば実力をしっかり発揮する
<デメリット>
ただしスマートスピーカーとして置きたい場所と、サテライトとして最適な場所が同じとは限らない
親機を置く場所とOrbi Voiceがある程度離れている方が、メッシュWi-Fiとしての実力を発揮できるということはしっかりと実感できました。しかしOrbi Voiceはスマートスピーカーなので、音楽などを聴いたり、情報を手軽に調べたい時に手元にないと意味がなくなってしまいます。
親機1台と子機1台では実力を存分に発揮できない場合もあるかもしれませんが、すでに構築したメッシュWi-Fiをさらに増強するのには向いているのではないかという印象を受けました。
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(取材・文/安蔵靖志)