ラバッシュは、小麦粉と水、酵母だけで作られ、油脂類は入りません。
日本の米飯と同じように、ラバッシュはアルメニアの主食で、さまざまなフードとの組み合わせができます。食事のテーブルには、ほぼ必ずといっていいほど出てきました。
例えば、朝食では、たくさんのコンフィチュール類や乳製品と一緒に、ラバッシュが登場します。
アルメニアは果物類の生産も多いので、フルーツを甘く煮たコンフィチュールは朝食のテーブルによく並びました。独自のスパイス使いをし、日本のジャムにはないエキゾチックな風味のコンフィチュールも多かったです。
ラバッシュにコンフィチュールやサワークリーム、フレッシュチーズなどをトッピングし、くるりと巻いて食べます。クレープ状の薄くて柔らかい生地のラバッシュは、何かを包んで食べるのにぴったりです。
アルメニアは乳製品がとても豊富で、朝食時はヨーグルトやフレッシュチーズ、バターなどが食べきれないほど並びました。
また、ワイナリー訪問時には、美しく盛り付けられたチーズプレートでもてなしてくれました。ローカルなチーズばかりなので、チーズ好きにはたまりません。
ラバッシュは、その作り方が独特なため、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
夜、山の中のホテルに戻ると、運転手兼通訳さんが、こっちこっちと手招きします。行ってみると、厨房のおばさんたちがラバッシュを焼いているところでした。
うす~く伸ばした生地を、土間に掘られた窯の壁に貼り付けて焼きます。紙のように薄いので、焼きあがるまで1分もかかりません。「どうぞ」と出された焼きたてを食べてみると、生地がもっちりして、小麦の味が甘い! 焼きたて最高!
現代の都会の家ではラバッシュを焼く土間の窯はなく、店で買うことになります。スーパーのパンコーナーにもたくさん置いてありました。実は私も帰国前日にスーパーでラバッシュを一袋買ってきたのですが、帰宅してスーツケースを開けたら、すでにカビが出ていました。これは現地で食べるしかありません。
だからこそ、より焼きたて、できたてに近いものが人気で、エレヴァンの街中では、ラバッシュよりは厚いですが、薄焼きパンを焼いて売っている店に行列ができていました。私も並んで買ってみましたが、むっちりしておいしい! しかも1枚120アルメニアドラム、日本円に換算すると27円くらいという安さ。行列ができるわけです。