ただのSUVじゃ満足できない人に!希少な“屋根開き”「イヴォーク」が買えるのは今だけ!!

■カッコいいイヴォークのクールなコンバーチブル

日本を始め、世界中で大ヒットとなったイヴォークは、レンジローバーのラインナップの中で最も小さなモデル。先代=初代が人気を得た理由は、“砂漠のロールスロイス”との異名を持つプレミアムSUVブランドのレンジローバーが、手の届きやすい価格で買えたことも大きいが、それ以上に注目されたのは、とにもかくにも、デザインがカッコ良かったからにほかならない。

初代イヴォークは、ボディサイドにあるガラスエリアの天地を短くし、ルーフを低く見せるという手法を導入。それまでのSUVデザインの常識を覆す前衛的なスタイルを採用した。まるでモーターショーを彩るコンセプトカーがそのまま公道に舞い降りたかのような攻めたルックスに、多くのユーザーが飛びついたのだ。街を走る初代イヴォークは、まるでファッションモデルが闊歩しているかのようなオーラを放ちながら、街の視線を集めていた。

そんな初代イヴォークの派生モデルとして登場したコンバーチブルは、その名の通り、SUVのイヴォークをベースとしたオープンカー。屋根はソフトトップで、スイッチ操作で走行中も開閉可能だ。

■弱点を魅力に変える走行中の新たな発見

不思議なことに、クルマは屋根がないだけで、信じられないほど走って楽しい乗り物になる。開放感がどれだけ楽しさにつながるかは、オープンカーを体験したことがある人なら、身を持って実感したことがあるだろう。それをSUVで実現してみせたのが、イヴォーク コンバーチブルの面白いところ。

このところ、“ルーフトップバー”と呼ばれる、ビルの屋上などにあって夜景を楽しめるオープンテラスのバーが流行っているが、イヴォーグ コンバーチブルはまさに、“クルマ界のルーフトップバー”といった印象。屋根が開くことで、乗員が開放的な気持ちになれるのはもちろん、普通のオープンカーとは違って背が高いから、周囲を見下ろして走る、見晴らしの良さも味わえる。そして、街の夜景を頭上に眺めながら夜のドライブを楽しんでいると「こんな世界もあったんだ!」と新たな発見に感動し、ついつい遠回りしてしまう。

もちろん、イヴォーク コンバーチブルはリアシートの背後にソフトトップの格納スペースを設けた結果、リアシートはタイトになり、ラゲッジスペースは狭い上に開口部も小さくなった。さらに、4名しか乗れないとか、そもそも3ドアなのでリアシートへの乗り降りがしにくいなど、実用面に関してはいくつものウィークポイントが挙げられる。

しかしこのクルマ、屋根を開けてドライブしてみると「それがどうした!」という気持ちになる。クルマでの移動が、極上の時間へと変わるのだ。そういった、実用面の犠牲を気にすることなく、クルマとの充実した時間を過ごすことこそ、ゆとりある豊かなカーライフではないか? イヴォーグ コンバーチブルをドライブしていると、そんな理想のカーライフについ思いをはせてしまう。

■新世代ディーゼルは洗練された回転フィール

イヴォーク コンバーチブルのエンジンは、ガソリンとディーゼルから選択可能。今回の試乗車は2リッターのディーゼルターボだったが、ジャガー・ランドローバーグループが次世代を見越して開発した新しいエンジンだけあって、回転フィールはとても洗練されている。そして、4000回転オーバーまで軽快に拭け上がり、かつ好感の持てる雑味のないフィーリングを味わえた。

その上このエンジンは、ディーゼルとは思えないほど音も静か。エンジン自体から発せられる音が、ディーゼル特有の尖った感覚のない、まろやかな音質なのに加え、エンジンルームの遮音も、しっかり施されている。そのため、屋根を開けて走っていても、アクセルペダルを深く踏み込んだ際にようやくディーゼルらしいノイズを感じるくらいの静かさだった。

そしてこのクルマは、ハンドリングも軽快で、SUVとは思えないほどシャープ。運転を楽しめる爽快感を身につけているから、ドライブ好きの人でも満足できることを約束する。

走る楽しさが詰まった、世界的にも希少なSUVのオープンカー。その上、元々カッコいいイヴォークをベースモデルとするだけに、コンバーチブルのスタイルはとてもクールだ。「人とは違う個性的なクルマに乗りたい」とか「アバンギャルドなルックスのクルマに乗りたい」といった、ふたつのニーズを同時に叶えてくれるイヴォーク コンバーチブルは、実に魅力的な存在。

しかも、もうすぐ買えなくなるとなれば、それはレッドリスト入り確実の、希少野生動物のようなもの。つまり、今、買わずしていつ買うというのか? 2019年7月現在、イヴォーク コンバーチブルの生産はすでに終了しており、新車として買えるのは、ディーラーなどにある在庫分のみ。今回を逃すと、再び(将来的に新車として発売され)手に入れられる確率は、ほぼゼロと考えていいだろう。新型イヴォークが登場し、あえて旧型になった今、それでも買っておきたいクルマがイヴォーク コンバーチブルなのである。

<SPECIFICATIONS>
☆コンバーチブル HSEダイナミック
ボディサイズ:L4385×W1900×H1650mm
車重:2080kg
駆動方式:4WD
エンジン:1999cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:9AT
最高出力:180馬力/4000回転
最大トルク:43.8kgf-m/1750回転
価格:788万円

(文&写真/工藤貴宏)


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