4輪の免許で乗れる!Can-amの新星「Ryker」はバイクの爽快さを気軽に味わえます

■バイクの爽快感とクルマに近い操作系

日本ではあまり馴染みのないBRP社は、カナダのレクリエーションビークルメーカーであり、正式名称はボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツといいます。航空機製造で有名な、あのボンバルディア社を母体とし、スノーモービルや水上バイクといったレクリエーションビークルを手掛ける部門が分社化したもの。確かによく見ると、Can-amシリーズのデザインにも、どことなくスノーモービルや水上バイクに通じる雰囲気がありますね。

バイクのように車体を傾けることがないので、Can-amはクルマ用のタイヤを装着。ふたつの前輪を支えるサスペンションも、クルマによく使われるダブルウイッシュボーンタイプとなります。

エンジンは、600ccの2気筒と、900ccの3気筒という2種類がラインナップされ、それぞれ47馬力と77馬力を発生。そこに組み合わされるトランスミッションはCVTで、変速操作は必要なく、アクセルをひねるだけで走ることができます。確かにこれなら、バイクに乗ったことのない人でも操れそうですね。

従来のCan-amシリーズは、長距離ツーリングも快適にこなせる豪華な装備が特徴でしたが、その分価格は、200万円以上と高価でした。一方、ニューカマーのCan-am Rykerは、装備をシンプルにすることで135万9000円〜という価格を実現。駆動方式も、従来モデルのチェーン式からシャフトドライブ式へと変更し、メンテナンス頻度を抑えています。

一見、ハンドルなどの操作系はバイクのそれに近いように見えますが、実は手元には左右ともにレバーはなく、ブレーキは右足側のペダルで操作します。ペダルを踏めば前後ともブレーキがかかる仕組みで、この辺りの操作はクルマに近いですね。ちなみにバックギヤも備えていて、後退することもできます。

ユニークなのは、起動させるためのキーで、スノーモービルや水上バイクなどで使われるものと同形状。これを挿し込むことでエンジンが始動できるスタンバイ状態となります。

そこから先は、セルによってエンジンを始動させますが、そのままでは動かすことができません。パーキングブレーキを解除し、アクセルを通常とは反対の前方へ向けてひねることで、走り出せる状態になります。

■荒れた道では下手なバイクより速い!

今回試乗したのは900ccのモデルで、オフロード走行を視野に入れたタイヤとホイール、ハンドガードなどを装備した「Can-Am Ryker Rally Edition(カンナム ライカー ラリーエディション)」というモデル。アクセルをひねって走り出すと、予想以上に力強い加速を味わえました。ちょっと大きめにアクセルと開けると、一瞬、リアタイヤが空転するほどの力強さで、加速感やスピード感、風をカラダに浴びることで感じる爽快感などは、完全にバイクのそれですね。

コーナーリングは独特の感覚。バイクのように車体を傾けるのではなく、ハンドルを切って曲がるのですが、大きくこじるようにハンドルを切る操作は、バイクに慣れている人だと最初のうち、抵抗を覚えるかもしれません。遠心力で車体は外側へと傾こうとするので、それに抗うようにカラダを内側へと入れる必要があります。

ただし、この状態でも3本のタイヤが踏ん張ってくれるので、コーナーリングの限界の高さは予想以上。バイクだと「少しオーバースピードかな?」と思うような速度でコーナーへ突っ込んでも問題なく曲がれてしまうので、ちょっと路面の荒れた峠道などでは、下手なバイクより速いペースで走れます。この感覚は楽しい!

大人になってからバイクに乗りたいと思っても、教習所へ通って免許を取得する…というのは、意外とハードルが高いもの。普通免許で乗れて、バイクの爽快感を味わえるCan-amシリーズは、そんな人にとって魅力的な存在でしょう。

しかも、転倒の心配がなく、信号待ちなどで足を着く必要がないので、長距離ツーリングへ出掛けても疲れが少なそう。すでにバイクに乗っている人でも、新たな感覚を味わえ、楽しめることは間違いナシ。バイクやクルマとはちょっと違う3輪バイクの魅力、未体験の人は一度試してみることをおすすめします。

<SPECIFICATIONS>
☆Ryker Rally Edition
ボディサイズ:L2352×W1509×H1062mm
車両重量:285㎏
エンジン:900cc 並列3気筒
トランスミッション:CVT
最高出力:78馬力/7100回転
最大トルク:7.7kgf-m/6300回転
価格:176万4000円

(文&写真/増谷茂樹)


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