英国の老舗Cambridge Audioの「Melomania1」は驚きの完成度【イヤホンレビュー】

まずは、基本的なプロフィールから。

いま、世界中で大流行中の完全ワイヤレスイヤホンですが、高音質のキーワードとなっているのがクアルコム社の最新SoC(System on a Chip)。「Melomania1」も例に漏れず、同社の“QCC3026”という最も途切れにくく高音質と評判のSoCを採用しています。

そしてイヤホン本体は、弾丸のようなストレート型。重量は片側4.6g。最近は耳にフィットする形状が増えているので、逆に新鮮ですね。耳に固定するフィン等の付属もありません。防水はIPX5防滴仕様なので、一般的なランニング程度なら通用します。

気になるフィット感はというと、僕の耳では弾丸側の底の部分まできれいに収まりました。イヤーピースは、標準で低反発ウレタン系の“メモリーフォーム”タイプが付いています。ギュッと潰して挿入するので、まるで耳に弾丸をねじ込むイメージ。

シリコンタイプのイヤーピース(S/M/L)も付属しているのですが、こちらも含めた音質レビューは後ほど。

そしてこのモデルの隠れた魅力が、付属の充電ケースです。重量わずか37gと小型軽量。サイズのイメージはジッポーライター程度ですが、丸みを帯びた形状は手にも馴染みやすく、モノとして上質。バッテリー持続時間はイヤホン単体で最大9時間と余裕たっぷり。ケースで4回充電できるので、合わせると最大45時間になります。

イヤホン本体の操作性は、左右どちらも1回押しで再生/停止、2回押しで曲送り/曲戻し、2秒長押しで音量+/-が割り振られています。音量操作までしっかり行えるのは安心です。1回押し+2回押しの組み合わせでSiriも呼び出せます。

ワイヤレス接続はBluetooth5.0でiPhone向けのAACだけでなく、Android向けにはaptX対応と音質重視の設計。

完全ワイヤレスのポイントである接続性について、屋外に持ち出してチェックしてみたのですが、新宿の繁華街や山手線の電車に乗る程度では音切れは全くナシ。世界最古の地下鉄のあるロンドンに本社を置くブランドだからでしょうか、かなり優秀な部類に入ります。

では、じっくりサウンドをチェックしていきます。まずは「Melomania1」に標準で取り付けられている“メモリーフォーム”の状態から。

英国のバンドを代表してクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』を聴くと、強烈なアタックも音が適度に弾けるナチュラル系のサウンド。歌声は一定レベルでクリアですが、バスドラムの低音は“ドコドコ”と鳴る迫力系。QCC3026チップ搭載の時点でワイドレンジかつ情報量は相当あるのですが、意図的に高解像方向にはせず、聴き疲れしないユルめにしている雰囲気です。

僕のリファレンス曲である宇多田ヒカル『あなた』も同じ傾向だし、BrunoMarsの『24K Magic』でも音の方位感と情報はあるのですが、キレの深さよりも適度な量感のバランスです。この音に対する余裕が、ブリティッシュ・サウンドの高音質といったところ。

なお、イヤーピースを付属のシリコンタイプに交換すると一気にクリアなサウンドになるので、聴き比べると面白いかも。AndroidスマホのaptX接続で聴いたサウンドは“メモリーフォーム”でも相当クリア。こちらはストレートに高音質を欲しい人に合いそうですね。

Cambridge Audioは据え置きのHi-Fiオーディオで存在感のあるブランドだったのですが、完全ワイヤレスイヤホン「Melomania1」は初物とは思えない完成度の高さ。余裕たっぷりに鳴らすブリティッシュ・サウンドも、一流のオーディオブランドとしてのポリシーを感じます。英国ブランドという所有感と、高音質や接続性、そしてバッテリー持続時間という実用性を兼ね備えたCambridge Audio「Melomania1」。モノとしてのこだわりのある人には、とても推したいアイテムです!!

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(取材・文/折原一也)

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