「BK10」はハンドルマウントだけで2種類あり、ヘルメットマウントも付属しています。ヘルメットマウントはアクションカムでお馴染みのGoProっぽいジョイント形状のもの。各アダプターへの装着感はしっかりとしており、存外に良好。もちろん、本家と比べるといささかアレな部分もありますが、使用に問題ないレベルです。
ディフォルトで付いている「ありがち」なハンドルクランプは、実はこれが結構良くできていて使用感は良好でした。ステム付近まで詰められるクランプ径の太さと付属するゴムスペーサーの厚みがちょうど良かった。これはのちほどご紹介します。
ライト本体はアルミ合金製。充電池込みで約180g。やや重量感ある重さ。充電池に大容量のIMR21700電池を使用しているので半分くらいは充電池の重さになるかもしれません。ボディ各所には放熱を促すためのトレンチが刻まれています。前方は角ばったデザインで後方にいくにつれ円形になります。意外と凝ったデザインで機能性も高い。
通勤で自転車を使う場合、会社に着いたらライトをバイクから外してデスクのPCに繋いで充電するという人も多いかと思います。仕事中にチャージして、帰りにはフルチャージで安心して帰れる、そんなサイクルが理想です。当然、ライトはデスクの上に置くわけですから円筒形よりはスクェアなデザインの方が便利ですよね。
そして「BK10」の特徴のひとつがレンズ。六角形のレンズには縦にスリットの入った昔の車のヘッドライトのよう。しかも、レンズは二重になっており、中心部は円形でボディ側に向かって傾斜しています。自転車用ライトは最近不勉強なところもあったので申し訳ありませんが、このようなものは初めて見ました。対向車や人へのグレア(幻惑効果)を軽減させるものだそうです。
スイッチボタンは上面に一か所のみ。シンプルで使いやすいデザイン。ワンプッシュで点灯、再度プッシュすると消灯します。点灯後、長押しするとモードが自動で切り替わり、任意の明るさで指を放すとその明るさがメモリーされます。次回点灯時は消灯時の明るさから。どのモードからもダブルタップでターボモード(一番明るいモード)が点灯します。ON/OFFの基本がやりやすくストレスがありません。スイッチの押し感は普通。
実際に点灯させて近距離を照らすとこんな台形の配光になります。グレアを軽減するタイプのライトに多く見受けられる配光です。のちほど路面を照らした画像で紹介しますが、横への配光は少なく、前方に帯状に光が伸びます。つまり、行き先を照らすというバイクライトの本分を最も満たすことができる配光であると言えるのです。
容量は5100mAh。一般的な18650サイズよりもひと回り太く大容量です。充電池は着脱が可能。ビルトインではないので、充電池の寿命が尽きても交換できます。すぐにダメになるものではありませんが、万が一過放電させて充電池が逝ってしまっても、電池を入れ替えることでリカバリー可能です。
また先に紹介しましたが、ボディのデザインが秀逸なので電池の出し入れが簡単です。バイクライトは電池の出し入れに難があるものが多く、昔は随分と苦労させられました。これなら予備の充電池がある人であれば、外部充電器での充電も可能ですね。ヘビーユーザーにとってはありがたい仕様。
充電池をインストールした状態で充電する場合は、ライト底面にあるmicroUSBポートにケーブルを挿して行います。ポート自体に防水処理が施されています。防塵防水性能はIP65、つまり豪雨の中で使用しても問題ないレベル。ダストカバーが付いていないのでポートが汚れた際は、軽く流水し完全に乾かしから充電を行ってください。
さて、軽くなったとはいえ約180gあるライトは「とっても軽い」とは言えません。実際、自転車用のヘルメットにマウントさせてみると中々のチョンマゲぶり。致し方無いのですが割と首に負担がかかります。短時間のライドであれば許せますが、長時間の使用にはあまり不向きな使い方かと思います。街乗りであれば、ハンドルマウントがベストですね。
素敵なのはオーバーサイズの太いハンドルであってもステムのすぐ隣にライトが設置できたこと。もちろん、一番厚いゴムスペーサーは使いませんが、これはママチャリなど1インチサイズの細いハンドルで使用するものです。ママチャリにも付けましたがこちらも良い感じでした。
マウントには左右に角度調整のためのノッチが付いており、正中から左右に5段階の調整が可能。まぁ、ステムに近いところに設置できるのであまり使いませんが、ノッチはシッカリしているし、ライトとマウントの着脱もしやすいと思います。
せっかくなので、他社のライトと比較してみたいと思います。比較するのはアマゾンで買ったノーブランドのバイクライト。実は最近自転車通勤しておりまして、バイクライトは欠かせないアイテムです。なので試しにアマゾンで高評価のライトを買って試してみました。
正直、期待通りのものでした。恐らくXM-Lが3灯載っていて明るさはひいきめに見て600ルーメン。でも、評価コメントにあったとおりボディは熱くなりづらく、充電池のモチも良好です。3灯で600なら1灯200ルーメンですからXM-Lならば超安パイな設定。通勤で使うライトであれば、これで充分だと思います。「すごく明るい」かどうかは何とも言えませんが、3000円でこれなら充分じゃないですか?
などと、アカリセンターの担当者に怒られそうですが…。「BK10」の明るさも見てみましょう。
横への広がりが少ない分、ライダーから見て正中に近い路面を充分に明るく照らす能力を持ちます。配光に関しては好みの部分もあるので、絶対にこの配光が正解だとは言いませんが、街乗りでの配光は横への広がり以上に正中をシッカリ照らした方が安全だと思います。かつては、ライトの明るさが足りず、異なる配光のライトを2灯付けるなんてこともしていましたが、これだけ明るければもうその必要もないかな?と個人的には思います。
改めてノーブランドと「BK10」を比較してみました。
「BK10」の方がより効率的に路面を捉えていますし、実際出力されている明るさも違うと思います。
ライトの明るさを増すには、より明るく光るLEDを搭載しなければならない、つまり使用する電池容量も大きくなります。リチウムイオン充電池が一般的でなかった頃、乾電池やエネループのようなニッケル水素充電池を多本数装填しなければならず、結果ライトは重く大きくなり、バイクライトとしては不格好で不向きなものになりました。それを支えるマウント類も大型化するか素材を丈夫なものにする必要があり、それらのできが良くないと、ライトはお辞儀してしまったり、最悪脱落するなどの不具合がありました。
しかし、現在は規格化された充電池も充分な容量を持ったものが登場し、なおかつ放電性能に優れたリチウムイオン充電池により、乾電池の頃には考えられなかった明るく軽量なバイクライトが登場しました。バイクライトの歴史は明るさと電池容量の戦いの歴史でした。それはハンディライトも変わりはないのですが、特にバイクライトの場合、「重量」との兼ね合いが問題になるのでよりシビアなジレンマを抱えています。
「BK10」がそのジレンマのすべてを解決しているとは思えません。しかし、値段相応の性能と実用性は備えているのではないかと思います。バイクライトに関してはユーザーの使用頻度や用途によってその「価値」は大きく変わりますが、本気で明るく効率的なバイクライトを探している方にはおススメしたいライトです。(アカリセンター価格:1万3150円)
>> 連載[Gear Maniax]
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(文・写真/HATTA)
HATTAと申します。通販サイト・アカリセンターで取り扱っている世界中の懐中電灯やギア物を紹介しています。ブログも絶賛更新中!
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